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≪インタビュー/前編≫


「少子化時代の進路をどう選ぶ」
コロナ禍で生徒・保護者の価値観に変化

大阪府公立中学校長会・進路第一委員会委員長
奥野 直健 先生に聞く

きょういく時報」22.7.18号掲載>




―― 大阪府内ではここ数年中学卒業生数が減少する中で、今春、3年生の人数が若干増えましたが。

奥野今春は若干増加しましたが、全体的な傾向としては、今後も生徒減少が続くことに変わりありません。

昨今、大阪市内中心部では、入学者数が増加した公立小・中学校も一部あるようですが、そうした動きが市内や府内の全域で見られるというわけではないように感じています。



私立高校専願者が漸増


―― 大阪府内の高校進学にはどのような特徴が ――。

奥野:大阪府公立中学校長会では、毎年数回中学3年生への進路希望調査を実施していますが、近年、私立高校の専願希望者の割合が徐々に増加傾向となっています。

理由は様々ですが、一つには府の私学助成制度の充実と周知が十分に行き届いたことを追い風に、生徒たちの価値観の多様化に対応した教育内容が望まれていること、その中でも高校卒業後大学への進学を希望する生徒(保護者)にとって、大学付属の高等学校に魅力があるようです。

府の私学助成制度が無かった頃には「私学の教育は良いけれども授業料が高い」という声が聞かれましたし、生徒たちの間にも、7~8時間授業や土曜日の登校、部活動が制限されることなどへの不安があったかもしれません。

しかし今では、大学への進学志向を背景に、生徒本人にも「あと3年間頑張って現役で大学進学をめざそう」という生徒もが増えており、保護者の方々も、経済的な側面を含めてわが子の後押しをされるようになってきているのではないでしょうか。

また、各校独自の奨学制度を設定する学校も増えていることも、私立高校専願者を押し上げる要因の一つになっていると考えられます。

多様な要素が合わさることで、マクロで見たときに「希望者が増えてきた」という結果につながっているのではと思います。

また、ここ数年通信制高等学校の希望者も伸びています。


―― 通信制を希望する生徒はどれくらい増えているでしょうか。

奥野:毎年の第2回進路希望調査(1月中旬)時点の数字で申しますと、卒業見込者数に対し、通信制高校への進学のみを希望している生徒の割合は、令和2(2020)年度4.1%、令和3(2021)年度4.6%、令和4(2022)年度は5.6%となっており、年々増加しています。


―― 通信制高校への進学志望が伸びている理由としてどのようなことが考えられますか。

奥野:通信教育の利点をいかして、スポーツなど自分の特技を伸ばすことに時間を使いたい子もいるでしょうが、そのような生徒は限られていると思います。

通信制高校を希望する生徒の多くは、不登校を経験して、中学校を卒業してすぐに全日制高校に通うことへの不安を強く感じている生徒たちではないでしょうか。

現在、多くの中学校でも不登校生徒の課題があると思いますが、対応については個々の生徒に応じて、ということではなかろうかと思っています。

例えば本校でも、コロナ禍を通じて、感染不安から学校に行けない日が続いたことから、そのような生活に生徒本人も慣れてしまって、結果的に学校生活に馴染みにくくなる場合や、親子や家族間の課題があって心理的な自立が難しいケースなど様々です。

学級担任を窓口にしながら、学年・学校組織で、個別に進路指導に努めています。



広域通信制高校への対応に苦慮


―― 通信制高校の中には、府の認可校以外に、全国各地で広域に展開しているところもありますね。広域通信制高校の緩和措置以後いろいろな問題も起きており、都道府県教育委員会も対応に苦慮されているようですが。

奥野:近年、大阪府が所管されていない通信制高校が府内にサポート校を開設されることが増えています。その中には、出願時期がとても早かったり、願書に校長印が不要なために生徒の出願を中学校が把握できていなかったりするケースがあると聞いています。

校長会の進路担当として具体的な課題事例の把握に努めるとともに、府内中学生の適切な進路指導のために、府教育委員会等関係機関との連携に努めているところです。<文中敬称略>

(大阪市立住之江中学校校長)
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