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近畿の実力私学百選

学校法人ヴィアトール学園

洛星中学・高等学校


 ■阿南孝也 校長先生へのインタビュー


人の痛みを理解し 学ぶ楽しさ育む



新校長とされて、抱負などお聞かせいただけますか。

阿南: 本校は、カトリックの修道会であるヴィアトール修道会が設立した男子校です。設立以来52年間、修道会の司祭が校長を務めてきましたが、この度初めて、修道会以外から校長に就任することになりました。

 一般教員の立場からいきなり校長に就任しましたので、正直なところ少々戸惑いもありましたが、本校の建学の精神であるカトリックの世界観にもとづく全人教育をこれからも推進してまいります。

 前任のゲェタン・ラバディ校長(現理事長)は、「頭・心・体」のバランスを重視していましたが、この点は、どんなに時代や人々の価値観、社会情勢が変わろうとも、教育の根幹として変わることがないと思っています。

 実は昨年末、校長就任の内示を受けた際に、生徒たちへのあいさつの中で二つのことをお話ししました。一つ目は「人の痛みのわかる人間になってほしい」ということです。

 社会に出てリーダー的な役割を果たしていこうとするならば、まず「人の痛みのわかる人間」であってほしいと思います。日本はこれまで、世界の国々においても様々な貢献をしてきました。しかし、その割には世界の国々からあまり感謝されていないのではないでしょうか。現地の人々や一緒に働いている人たちのことを考えることができてはじめて私たちは世界の国々の人々から信頼感を得ることができ、リーダーと認められるような存在感を発揮していけるのではないかと思っています。

 二つ目は、「学ぶ楽しさを知る人になってほしい」ということですね。中・高生の間はやはり、大学受験を目標としたいわば“与えられる勉強”が中心になってくることは否めません。しかし同時に、自分の将来の姿を具体的にイメージしたり、大学をどう選ぶか考えたりすることも中・高生にとって大切な作業の一つであるはずです。

 こうした考えから、本校では土曜日を利用して大学の先生方に来校していただき、お話を聞いたり、学生たちに話を聞くような試みをスタートさせたところです。学ぶ雰囲気に満ちた学校づくりをあらたにめざす中で、魅力ある進学校としてさらに躍進したいと考えています。



キリスト教の世界観をベースに

ところで京都でも、公立の中高一貫校が開校しましたが。

阿南: 私学が長年、試行錯誤しながら培ってきた中高6ヵ年一貫教育の良さが、公立校においても認められたということではないでしょうか。本校の場合は、中2の段階で無理なく中3までの教育内容を終え、高校の内容に入っていくという自然な学習の流れを定着させてきました。

 また、本校のキリスト教にもとづく教育は、公立校にはない大きな特徴といえるでしょう。「人の痛みのわかる人、学ぶ楽しさを知る人に」という話をした折に、ある人が「仏教でいうところの慈悲の心と、智恵の話ですね」とおっしゃったことが心に深く残っていますが、生徒たちには、自分を超えたものに目を向け、自分自身を見つめ直す、そうした経験を重ねていってほしいと思っています。



近頃は「人に迷惑をかけているわけではない」と言えば、何でも許されかねない風潮が目につきますが。

阿南: 極端な言い方をすれば、自分の命なのだから自分で絶ってもかまわない――、ということにもなりかねません。カトリックの世界観では、神は愛のゆえに人間を創造され、無条件で私たちを愛してくださっていると考えます。そうした世界観を通して、自分が愛されていることを自覚し、周囲の人たちもまた同じように愛されている存在なのだと気づかせていくことが大切だと思います。


あらたな奨学システムを導入

学習指導要領が再三揺れ動きましたが、御校におけるご対応などいかがでしょうか。

阿南: 本校では、指導要領が変わったからといって何ら影響はありません。ただ、小学校から入学してくる生徒たちについては、スタートの段階でとくにていねいに手をかけていくことが大切だと思っています。

 春休みの時期なども、中学校で学ぶ各教科への興味・関心を高めてもらおうという目的で、例えば社会科では「国の名前と場所を調べてみよう」といった形で課題を出したりしています。但し、英語に関してはむしろ中1からスタートするのが望ましいという考えから、「勉強しなくてよろしい」というのが宿題になりました。



最後に私学助成の方向性をどうお感じですか。

阿南: 京都府の場合は、授業料軽減補助という形で増額されましたが、公立校との授業料の不均衡は、私学経営にとってマイナス要因となっています。私学全体として引き続き私学助成への働きかけを行う一方、各校が独自の経営努力を推進していくことも必要だと思っています。本校では、1年間の授業料を2年かけて支払うことができるあらたな奨学金のシステムを導入しました。


ありがとうございました。<文中敬称略>〔04.5.18号より全文掲載〕


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