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教育基本条例案の違法性を弁護士会指摘
権力拡大のための条例づくりか

<「きょういく時報」11.9.18 666号掲載>


 大阪維新の会がまとめた教育基本条例案に対し、大阪弁護士会が、9月11日付で中本和洋・会長名による声明を出した。

 そのなかで中本会長は、市町村教職員の懲戒処分にまで立ち入ろうとする基本条例案の内容について「大阪府教育委員会の人事権と市町村教育委員会の内申権を侵害し、地方教育行政組織法に反する」との見解を示している。
 
 また、「府議会が教育行政に介入し、教職員の懲戒基準を定めることは、地方教育行政組織法に違反し、教育委員会を不当な支配のもとにおくことになる」と、教育基本条例案の内容を厳しく批判し、「地方公共団体の条例制定の限度を定める憲法94条にも違反する」としている。

 さらに「教育行政が地方自治体の教育委員会にゆだねられているのは、明治憲法下で中央政府が教育行政を管轄し、国定教科書をはじめとして国家主義教育を中央集権的に進めたことに対する反省からきている」との文言も見られる。



学校現場は治外法権?


 一方、大阪府の橋下知事は、ネットを通して「教育基本法、地方教育行政組織法などの法律が極めてあいまい。法律の体をなしていない。ゆえに教育現場の治外法権となっている。実際の地方教育行政は文科省からの通達という紙切れで動いている。学力調査テストの市町村別結果の非公表も文科省からの実施要領で縛られている」と、現行法規を非難している。

 しかし、学校現場は治外法権ではなく、何かあれば警察も出動してくれる。
「法律があいまいだ、法律の体をなしてない」といって法律に背く人々が多く現れていたら、それこそ治外法権だらけ(無法)の世界になるのではないか。

 「これまで政治は、公安委員会の組織に介在できなかった。治外法権の場があるから公安委員会に政治的介入をする」「選挙管理委員会に政治が介入できなかったが、政治介入する」といったところまで、論理が敷衍される危険性がないと言い切れるだろうか。

 また、「実際の地方教育行政」というのは、本当に文科省からの“紙切れ”で動いているものなのだろうか。教育分野においても、人と人とのコミュニケーションは微妙な問題になることが多いといわれる。大阪府庁の中では、どうなのだろう。



本当に求められているのは


 「学力調査テスト」が今春大阪府でおこなわれた。私立も参加要請を受け、数校が実施に加わったらしい。

 そのテスト結果は、この教育基本条例の発表直前に公表されている。私学の方が成績がよいのは当然として、なぜこのタイミングで結果発表なのかといった疑問が消えない。

 もし学力テストが“政策のため”の実施というなら、これほど府民を馬鹿にした話はない。ましてや子どもの教育は点取り合戦でもなく、競争で成り立つものでもない。

 長引く景気の低迷で、教育イコール経済問題と感じる府民の人々も多いのではないか。家計を助けるためにアルバイトする高校生に、どう将来への希望を持たせるのか。

 さらには、地味ながら中小企業対策に力を入れていくのが、首長としての責務ではないのか。
 



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