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【点と線】
西松建設政治献金問題に思う

<「きょういく時報」09.3.28 619号掲載>



 民主党の小沢代表秘書が政治資金規制法違反で起訴された。今回の西松建設による政治献金問題での東京地検特捜部の捜査には、二つの点で大きな疑問が感じられる。

 一つは小沢代表秘書逮捕とガサが瞬時に行われた点である。

 西松からの献金を受けた国会議員が現閣僚含め22人いるといわれるが、なぜそうした議員らの捜査が同時に実施されなかったのか。

 最初に小沢代表秘書の逮捕・ガサ・起訴を行えば、マスコミが連日連夜派手に報道合戦を繰り広げることを、当然、特捜は予想できたはずだ。

 その後に自民党議員・二階経産大臣の捜査が行われたが、民主党の受けるダメージは自民党が受けるダメージよりもはるかに大きい。まるで検察がマスコミをコントロールしているように見える。

 さらに、千葉知事選挙・秋田知事選挙直前のこの時期になぜといった疑問も生じる。

 検察が記者会見で述べたように「民主政治の根本にかかわる問題」であるならば、当然そうした不公平性は排除されなければなるまい。

 二つめは虚偽記載の問題である。「西松建設がダミーの政治団体をつくり、そこから迂回献金をしていた」という検察側の主張は、「迂回献金である」ことの認識がなかったから帳簿に記載していたという小沢代表側の主張と真っ向から対立している。

 秘書の裁判では、検察側が自らの主張を裏付ける証拠をどのくらい提示できるのかが注目されるが、検察側が小沢代表側に対し「このように認識していたはずだ」と立証できるのかどうか、微妙だ。外形的な立証作業となるだろうが、その合理性については色々と論議を呼ぶことだろう。


「道理が通らない」怖さ
 

 ただ、今回の捜査の成り行きを見ていると、ハナから小沢代表秘書逮捕というパフォーマンスで社会に衝撃を与えたことは確かだろう。

 戦前のように、「おまえは犯罪を起こそうと考えているだろう」「反抗的な態度が気に食わない」などという理由で身柄が拘束された時代に逆行してほしくないものだ。

 マスコミの中には「小沢代表はやめるべき」といった社説を掲載した社もあるようだ。しかし、政党のことは政党やその支持者たちが決めるべきことで、外野からとやかく言うべき問題ではないはずだ。民主党にとっては“大きなお世話”だろう。

 昨今、日本の社会では道理といったものが通用しなくなっているようだ。

 大きなところでは政治や国家行政しかり、小では道路の通行のしかた、危険から自分や子どもをどう守るかといったことまで、あまりにも「考えない」社会になったことは教育の混迷とも深い関係があるのだろうか。



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