教育時報社

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≪インタビュー≫
「『情報Ⅰ』の導入 国大が先行」
大学に浸透するのか,データサイエンスの教養化

学校法人 河合塾 教育研究開発本部
近藤 治 主席研究員に聞く

きょういく時報」23.4.28号掲載>




―― 大学入学共通テストへの「情報Ⅰ」導入について、大学側の受け止めや対応は ――。

近藤:
河合塾では、2025(令和7)年度の大学入学共通テストにおける「情報Ⅰ」の設定状況について、各大学にアンケートを実施しました。

 その結果、国立大学・公立大学・私立大学の間で、捉え方や対応にかなり違いがあることがわかりました。

 まず国立大学では、国立大学協会の方針通り、「情報Ⅰ」を基本的に「必須」とする割合が約97%に達しており、ほぼすべての国立大学が「必須」と回答しています。

 次に公立大学では「必須」が44%、「他教科との選択」が70%、「利用しない」が35%でした。合計が100%にならないのは、同じ大学の中でも学部・学科によって対応が異なるケースがあるからでしょう。

 また、私立大学においても、共通テスト利用方式を使うならば「情報Ⅰ」は「必須」との回答が5%にのぼったことは正直驚きでした。

 ほか「他教科との選択」が90%、「利用しない」が52%となっています。

 このように「情報Ⅰ」への対応は、国立大学・公立大学・私立大学の間で明確に分かれている様子が見て取れます。



入学後の学びに焦点


―― 国立大学協会では、大学入学後、初年度から2年次にかけてデータサイエンスなどの情報科目を必須化していく、との方向性を示されていますが。

近藤:
ここ数年、国もデータサイエンス系に強い人材の育成に力を入れているようです。

 大学においても、理系の女子を増やしたい、文系の学習をしてきた生徒も受け入れよう、といった動きが見られます。

 ただ1点注意しなければいけないのは、極論かもしれませんが、数学ⅡBを全くやらずに入学してきた文系の生徒が情報系・データサイエンス系の学部・学科の授業についていけるかどうかでしょう。

 入学してから「話が違う」という流れにならないような対応も求められると思います。



高校教育全体を見据えた施策に


―― 入試における情報科目の位置づけなど今後の課題について ――。

近藤:
これからの時代を生きていく子どもたちにとって必要不可欠な学習内容であると国が認めたわけですから、大学もそれに応じた形で入試問題を設計する必要があると思います。

 ただ、共通テストへの「情報Ⅰ」の導入に関しては「入試で課すことによって、高校での情報教育にも自ずと身が入るだろう」というような発想があるならば問題と言わざるを得ません。

 例えば、大学入学共通テストを受ける必要のない私立大学専願の子たちにとって情報科目は不要かもしれません。この段階で「全員が学ぶ」という形は崩壊しているわけです。

 さらに言うなら、高校卒業後に社会へ出ていく人も多数おられるわけで、むしろそうした人たちの方が、高校生の間に情報科目の内容を身につけておく必要があるともいえるでしょう。

 情報科目の教員不足ももちろん課題の一つだと思いますが、もっと高校生全体のありようを見た上で、方策を考えていく必要があるのではと感じます。

―― お忙しい中、ありがとうございました。<文中敬称略>
※本紙より抜粋



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