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2023受験校研究/私立中高合格のポイント

甲南女子中学校高等学校

「A1次入試は4科または3科選択/4科型は3パターンで得点を算出」
全入試日程で移行合格が可能

きょういく時報」22.11.28号掲載>




 本校は今年、創立102年目になります。ゆとりある環境の中、甲南女子中高の6年間の教育システムは、一人ひとりが自立するために考えられました。

 設置コースは「Sアドバンスト(Sアド)」と「スタンダード」の2コースです。Sアドは国公立大、スタンダードは甲南女子大・国公立大・私立大などの進路に対応し、週6日制でゆったりしっかり学びます。

 難関国公立大学や医学部医学科など生徒の進路は大きく広がっており、多くの卒業生が社会の様々な分野でリーダーシップを発揮してくれています。


A1次・2次での出願がおすすめ


 2023年度中学入試の募集人数は、Sアド約65名、スタンダード約90名(A約80名・B約10名)です。入試回数は計3回、A入試1次は1月14日(土)、A入試2次は翌15日(日)、B入試は1月18日(水)に実施します。

 出願はWeb方式で、12月12日(月)に全日程で出願受付を開始します。A入試の出願締切りは1月12日(木)午後4時、B入試は1月17日(火)午後4時。出願時には、移行合格の希望もうかがいます。

 移行合格というのは、Sアドで出願したけれども合格点が少し足りなかった場合、スタンダードの合格得点に達していればスタンダードに合格となる制度のことで、合格者は入試日程ごとに決定します。Sアドで出願する受験生のほとんどが移行合格の制度を利用してくださっています。

 2022年度は、A入試1次・2次で例年以上に多くの方に入学手続をしていただきました。その結果、B入試ではスタンダードの倍率がかなりアップしたようです。

 B入試の倍率についてはなかなか読みにくい傾向もあり、本校を第一志望とお考えの方にはできるだけA入試1次・2次での出願をおすすめしています。

 なお受験料は、A入試1次・2次の両方を受験された場合も1回分のみとなります。

 合格発表は、A入試が1次・2次とも1月16日(月)午後3時30分、B入試は1月19日(木)12時30分、いずれもWeb照会により、そのまま入学手続きまで進めていただくことができます。

 一方、発表の結果をご覧いただいてからB入試に出願することもできますし、中にはA入試でスタンダードの合格手続をされ、さらにB入試でSアドにチャレンジする方もおられます。


4科型か3科型か?


 入試科目は、A1次が4科型(国・算・理・社)と3科型(国・算・理)のいずれか出願時選択です。4科型の合否判定では、①国+算+社+理、②(国+算+社)×1.2、③(国+算+理)×1.2のうちの最高得点を用い、3科型は③の換算点のみで判定を行います。

 2022年度入試では、A1次入試の受験生のうちの約3割が4科による受験者でした。ここ数年、3科受験者の割合が少しずつ増えているようですが、ただ4科で受験された場合、得点が3パターンで計算されますので、社会科の得点を有効に活用することができるかもしれません。

 社会科が特別嫌いだったり苦手だったりということがなければ、あるいは3科型にしようか4科型にしようか迷っておられるのであれば4科型でチャレンジしていただいても良いのでは、とアドバイスしています。

 なお社会科は教科書からの出題になりますので、小学校での日頃の授業にきちんと取り組んでおいてください。

 A入試2次ならびにB入試は、国・算の2科入試です。計3回の入試の難易度は、A入試1次が基本レベル、つぎにB入試、A入試2次とお考えいただければよいでしょう。出題内容は、両コース共通です。


各教科の出題のポイント


 2023年度入試に向けて過去3年から5年分の問題に取り組み、出題傾向をつかんでおくことは大変有効な対策といえるでしょう。では、教科別の出題ポイント等、紹介しておきたいと思います。

 国語は、長文読解問題として、説明的文章1題、文学的文章1題、および漢字・語句の知識問題を出題しています。日頃から幅広いジャンルの文章に接し、長い文章もしっかり読めるように練習しておいてください。言葉に関する豊かな知識や感性を持っているかが問われますので、ことわざ、慣用句、四字熟語なども正しく使えるように、また小学校で学習した教育漢字はすべて読み書きできるようにしておきましょう。漢字の書き取りは、字形が大きく変わると減点になります。記述問題は制限字数の少なくとも8割以上を書くこと、文末の「。」も忘れないこと。句読点も1字に数えます。日頃から文末表現にも気を配り、設問の指示に対する適切な解答を心がけましょう。


途中式も書き残す練習を
 

 算数は、問題用紙の1枚目が答えのみの小問集合、2枚目以降は途中式や考え方を問うものが多く見られます。各大問の(1)は計算中心の設問で、ここを落とさないことが合格のポイントといえるでしょう。途中式や、考え方を表す図が書かれていれば、最終的な答えが間違っていても部分点が与えられる場合がありますので、過程などもきちんと書き残せるように練習しておいてください。一方、図やグラフを絡めた文章題では、解き進めるうちに何が問われているのかを見失う受験生もいるようです。計算結果は正解できているのに、つまるところAさんは「損をしたか、得をしたか」の判断を取り違えるなど、残念なケースも毎年見受けられるようです。文章の読解力を養うことももちろん必要ですが、単位をつけ忘れていないか、約分を忘れていないか、など答案を見直す習慣も身につけておきたいものです。


環境問題、時事問題にも関心


 理科は、物理・化学・生物・地学の全分野から出題し、各分野20~30%の配点としています。小学校の教科書の内容をよく理解し、漢字で書くべき基本用語は、正確に漢字で書けるようにしておきましょう。基本的な知識を問う問題、図表を読み取る問題に加え、話題となった環境問題や科学のトピックからの出題も見られます。説明を求める記述問題では、説明する内容が“当たり前”と思っても、内容の重要な部分に関係するならば相手に伝わる形で具体的に説明する必要があります。主語が抜けていないか、文末が「~から。」「~ため。」となっているかなど細部も大切に。

 社会は、地理・歴史・公民それぞれ30%前後の配点となっています。教科書の基本的な内容をもとに、自分で考えて答えを導き出す出題を心がけています。地図・グラフ・写真を使用した問題、時事問題や、説明を求める記述問題なども出題していますが、知識を知っているかどうかではなく、設問をよく読めば解答につながるヒントが書かれていたりもしますので、まずは落ち着いて問題を読むことが大切だと思います。教科書に漢字で書かれている用語・地名などは正確に書けるようにしておきましょう。人物名がフルネームで書かれていない場合なども減点対象になり、要注意です。

 コロナ対応については前年度と同様、本校ホームページで情報を発信しますので、随時ご確認いただければと思います。

 本校では校内でのコロナ対策を引き続き徹底しており、入試当日は受付で検温も実施します。体調不良者には別室受験の準備も整えた上で受験生の皆さんをお迎えしたいと思います。


(お話は甲南女子中高 松尾由起子教頭先生)


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