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【インタビュー】ウィズ・コロナ時代の教育政策と課題①

共通テストなど試験日程に課題
大学の国際競争力獲得に必要な覚悟

灘中学校・灘高等学校
和田 孫博 校長先生

きょういく時報」20.8.18 809号掲載>




―― 令和3年度の大学入学共通テストは、従来のセンター試験と同様、1月中旬に行われることとなりました。

和田:その2週間後には「共通テスト②」の日程が設定されます。受験生は「学業の遅れ」を理由に、②の日程を選択することも可能となります。

ただ、それにしても出願期間が9月28日(月)から10月8日(木)までという設定については、現実的なのかどうか疑問に思います。

仮に11月、12月になって再び休校といった事態が起きれば、②の日程に変更したいという受験生が出てくることも当然予想されるでしょう。


AOや推薦にあらたな指針


―― AOや推薦については、あらたに学力試験を導入できるよう、文科省の指針が出されていますが。

和田:
確かに、学力的な要素を担保することは必要かもしれません。

しかし、本来ならば一般試験で入ってくるはずの生徒たちを、いわば先取りする手段として活用されることにならないか、懸念されます。大学側が、AOや推薦に定員をシフトする動きが来年以降、再び活発化するかもしれません。

文科省はAOや推薦の定員を増やすならば学力の担保を求めていくとの指針を出していますが、受験生の心理に与える微妙な影響なども実は危惧しているところです。


煮え切らない9月入学論議


―― コロナの影響で、学習指導要領や授業時数の扱いも弾力的にならざるを得なくなりました。特に公立校ではオンライン授業への対応にも大きな違いが出て、教育格差がさらに広がったとの指摘もあります。そうした中、“9月入学”の論議がにわかに浮上したわけですが ――。

和田:
“9月入学”をめぐっては、「この機会に、世界に合わせてはどうか」との声ばかりが強調されていたようです。

ただ学校現場から言わせていただくと、今年度の終わりを来年の6月、7月にするという考え方については、コロナの影響が教育にも混乱をもたらしているこの時期だからこそ、大いに現実味があったと思っています。

私自身、夏休みという長期の休暇は本来、年度の途中ではなく年度が替わる時期に設けるべきものと常々考えてきました。大学生は言うに及ばず、中高生も、年度替わりの時期に長期休暇があれば、日頃はできないような多様な活動にチャレンジしやすいと思うのです。

また、7月・8月のほぼ2ヵ月間が入試シーズンになることで、大学も面接を積極的に取り入れるなどアドミッションに応じた入試方法を工夫できるはずです。

高校においても高3の3学期の授業を駆け足で終える必要がなくなるでしょうし、受験生にとってのメリットはかなり大きいと思いますが。


― 聞き手:本紙・中沢―
(『きょういく時報』8月18日号より抜粋)
※次号で続編掲載予定


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