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日本は高齢化社会に対応できるか
自殺者の約30%が60歳以上

<「きょういく時報」16.9.28 758号掲載>


 総務省の発表によれば、日本の65歳以上の高齢者人口は3296万人で総人口に占める割合は25.9%と、4人に一人が65歳以上の高齢化社会に突入した。

 一方、東京や大阪などの都心部では人口が減り、大都市近郊の茨城や千葉・埼玉などでは人口が増加しているらしい。安倍政権が掲げる“一億総活躍社会”への政策が徐々に反映されてきているのか、高齢者の就業率も、米国を抜いて主要国では最も高い国になったようだ。

 が、年金には物価スライド方式が導入され、ただでさえ少ない年金がさらに減額される憂き目に遭った年金生活の人々が、違法性を訴え各地で訴訟も起き始めている。年金だけでは食べていけない人も多く、高齢者の就業率を押し上げている現状がうかがえる。


賃貸マンションと高齢者


 先日、ある賃貸マンションの経営者が、「一人暮らしの高齢者に部屋を貸すと、本人が亡くなった場合に身寄りがなかったりすると、部屋を整理するために業者を頼む必要も出てくるがその費用は家主が負担するケースが多い。しかも、住民税が滞納されていた場合には役所の差し押さえが優先されるので、家主は滞納家賃の回収も出来ないことが多い」と話していた。

 身寄りのない低所得の高齢者の人々に、なぜ賃貸したがらないのか様々な事情もうかがわれる。


一日に65.8人もの自殺者


 厚生労働省が今年まとめた、わが国の自殺統計では、毎年約2万5000人という高い数値で推移している。

 イラク戦争の戦死者を超える自殺者が毎年出ている事態だとわかると、日本をよく知る外国人でも“一ケタ間違っているのでは?”との反応を示すことが多いようだ。

 平均すると1日に65.8人が自殺していることになる。

 自殺者の約40%強が、無職か年金・雇用保険で生活している人々(平成27年度統計)であり、年代別では60〜70歳代の割合が最も高く、自殺者数に占める割合は約30%。

 WHOの資料によると、世界の中でみた日本の自殺率はロシアを抜いて9位となり、OECD諸国としては唯一ワースト10に入っている。


“生き場”を奪い続けるしくみ


 定年後の就業は、多くの一般の人々にとって「それまでの経験を生かせる職場」はほとんどないのが現実だ。年齢や性別にも実質的な制限があり、高齢者ほど非正規雇用中心の劣悪な労働条件を選択せざるを得なくなっているという。

 「大阪府であれば平均時給860円前後と、府の最低賃金とほぼ同額の条件。米国では時給15ドル(約1500円)時代というが、日本の男子高齢者の場合はほど遠い」と、定年退職後の高齢者の厳しい生活実態を、あるNPO幹部は語っている。

 また、交通アクセスの悪い地方では、人々の足として活用されているのが軽四の自動車で、ほとんどの農家では軽四トラックの使用頻度も高い。

 が、普通車の新車ほど税金も安く、軽四の自動車税は年数が経つほど税金も高くなるなど、新車販売をいわば促進する税制となっており、車検制度もまた独特。

 米国では行政が、その安全性に厳しい眼を光らせており、自動車自体の安全性によって自動車損害保険掛け金が高くなったり安くなったりする米国の制度の方が合理的に思える。

 生活コストが下がらない中、地方活性化の声もトーンが下がり気味のようだ。

 しわ寄せが生じやすいところを見分け、政策につながるような動きが出てこなければ、“一億総活躍社会”は、経済的に決して強くはない人々の“生き場”を奪い続けるしくみになりかねない。



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