教育時報社

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筒先は国民に向けられた
親子でみる『銃口』展

北海道旭川・三浦綾子記念文学館で

<「きょういく時報」14.6.28 717号掲載>


 北海道旭川市にある三浦綾子記念文学館。同館で、氏の遺作にちなむ特別企画「『銃口』展〜筒先は国民に向けられた。」が開催されている。

 三浦綾子は昭和39年(1964年)、新聞社が企画した1000万円懸賞小説に『氷点』で入選を果たし、脚光を浴びる。この時すでに病気と共に歩む毎日だったというが、77歳で亡くなるまでに82点の作品を残している。

 “キリスト教文学”という未踏のジャンルを開拓したとされる氏の小説世界には、深刻なテーマを扱いながらもどこか突き抜けた明るさが漂う、との評がある。

 生きていく勇気を奮い立たせる数多のエッセイも、ジャンルを超えて老若男女、多くの読者の心をつかんできた。

 旭川に生まれ育った氏は戦前、17歳で小学校の代用教員となり、若い情熱を教育に傾けた。子供たちに慕われる女性教師だったことは、教え子の声、また小説世界で描かれる生き生きと愛らしい子供たちの姿からも十二分にうかがえる。

 ところが戦後突如、教師であることをやめてしまうのだ ――。



創作ノートなど展示


 さて、三浦綾子記念文学館は『氷点』の舞台・外国樹種見本林の中に平成10年(1998年)、創設された。

 同館の企画展示室では現在「親子でみる『銃口』展」が開催されており、会期は夏休みを経てさらに11月3日(月)までとなっている。

 小説『銃口』は、「治安維持法違反のもとに多くの教師が検挙された『北海道綴方連盟事件』」を題材とし、豊富な資料と証言に基づき書かれている。

 『銃口』展では、資料の一部や創作ノートが展示されているほか、小説の主人公・竜太少年が時代背景などをわかりやすく説明してくれるパネル展示コーナーも見所の一つになっている。

 小説『銃口』の完結直後、氏は文芸評論家・黒古一夫氏との対談で次のように語ったとされる。「銃口は戦争中だけ人に向けられるのではなく、今でも横から後ろから、目に見える形、見えない形で国民に向けられているのよ」

 若い人たちに、どうか受け取ってもらいたい…。温かな言葉、熱く鋭いメッセージが、北の国から発信され続けている。


*三浦綾子記念文学館
所在地:北海道旭川市神楽7条8丁目2−15
電 話:0166-69-2626 FAX:0166-69-2611
http://www.hyouten.com/

入館料大人500円・高大生300円・小中生100円(※企画展込)
6月〜9月無休9:00〜17:00開館/10月〜5月は月曜休館・年末年始休館



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