1月7日、大阪府の松井一郎知事が記者団に語った内容の中で、一部事実と異なる発言が行われていたことが明らかとなった。
私学関係部局の教育庁(仮称)統合に関する構想について、私学関係者への要請や協議が行われていないにもかかわらず、「協議中」との事実と異なる発言があったことが、1月9日に開催された大阪府私学総連合会新春互礼会で、明らかにされた。
互礼会当日、来賓としてあいさつした新井純・大阪府副知事は、
「話については確かに、昨年暮れ頃から府庁内で議論している。報道先行になった部分があり、これから庁内でしっかり議論していこうという状況だ。
坪光正躬会長(大阪私立中高連)にもお願いしたが、様々な(教育関係者の)皆様からのご意見、お考えをお聞かせいただきたい。早急とはいえ、実施が短兵急にならぬよう、しっかり議論、意見交換をしていきたい」と語った。
新井副知事はさらに、
「2月には政調会が始まるが、2月議会への上程については未知数だ。庁内での話が固まっていないので、まだ中高連との意見交換も出来ていない」と述べた。
一方、当日あいさつした野田賢治・大阪府私学総連理事長は、
「12月に松井知事が教育委員会で、『私学も監督してはどうか』という発言をしたということは、“風のうわさ”で聞いていたが、我々私学関係者には話もなかった。意見を聞いてもらう機会もなく、いまだに話の詳細はわからない」と懸念を語った。
各自治体が施設管理者となっている公立学校と、各学校法人が施設管理者になっている私学との違いは様々な面で大きい。
また、新しい教育基本法が試行されてから文科省の方向性は「教育環境の整備の重点化」から「教育内容の整備の重点化」に移ってきているといわれる。私学関係者の多くは、こうした側面にも懸念をいだいているようだ。
*参考
1月7日に行われた記者団と松井一郎・大阪府知事との1問1答(抜粋)
記者:一元化の効果は? 目的がはっきりしないが?
知事:そもそも公私分けてやる必要がない。一元化で情報を共有しやすくなる。良いところを双方で共有すればよい。それが最大のメリットになると思う。文科省も公私両方を所管していろいろな問い合わせに対応しているのに、なぜ、地方だけは公立と私立でバラバラにやる必要があるのか。
記者:2月議会に諮るのか?
知事:検討中。部局が汗をかいてくれているので、私がいつとは言えない。
記者:4月からスタートさせる指示を出しているのか?
知事:早いほうが子どもたちのためになると思う。ただ、担当部局が今、汗をかいて私学関係者ともいろいろ協議している最中なので、今の時点でいつからと私からは言えない。
記者:私学関係者から理解を得られるかどうか、その手ごたえは聞いているか?
知事:丁寧に説明しているということだ。
記者:これまで教育委員会制度を問題視してきたのに、そのような組織に私学を委ねて問題はないのか?
知事:教育委員会は変わってきた。橋下知事時代から教育行政の環境を8年かけて変えてきた。今の時期であれば、より子どもたちが主役の教育現場を作れるのではと考えている。
※大阪中高連事務局作成 |