≪質問項目≫
高校の授業料無償化について
②授業料無償化に伴う高校入学時及び卒業時の学力懸念について
宗清議員:公私を問わず高校が今、知事のご主張で無償化されたことで、高校進学がしやすくなったことは事実だと思います。しかし一方で、十分な学力がないのに入学出来るしくみが出来たんではないかと思って心配しています。
公立の場合は定員割れ、私学の場合は囲い込みであります。公立の場合は今年の受験に見られるように、定員が割れれば学力が不十分であっても入学だけは出来てしまう。
入学をして学力不足で授業についていけない生徒がいれば教える側も大変でありますし、高校が本来果たす役割が崩れてしまうんではないかと心配しています。
一方私学の方は、経営難を回避するために生徒の数を確保しなければならない。どのような生徒であっても受け入れて、大阪府から58万円授業料をもらえばいいという学校もでてくるんではないかというように思われます。
生徒を受け入れて、とにかく卒業させると。教育機関としての役割を果たさない学校も出てくるんではないかなというふうに心配をしています。
公立はともかく、私学にも大阪の莫大な税金を投入し、授業料を無償化しているわけです。常識的な高校卒業程度の学力や社会常識を、生徒がしっかり身につけたことを確認してから卒業させるべきだというふうに思います。
教育目的を果たすために、公私を問わず中学校時代しっかりとした学力をつけて高校へ進学させると。高校は、受け入れた生徒を責任を持って教育をして社会に送り出す、このことをしっかり徹底させていくべきだと思われます。
最低限の学力等がなければ高校に入れないような入学基準というものをしっかり定めていく、議論を深めていく必要があるんではないかと思うんですが、知事のご所見はいかがでしょうか。
橋下知事:今おっしゃられたことは議員のその通りだというふうに思っていますが、一体じゃあ、誰が指示を出してやるんでしょうか。政治的中立性ということを言われている中では、これ、ご意見うかがっても政治家は何も出来ないというのが世間で言われているところの政治的中立性なんでしょうかね。今、そういうことなんですよ。
だから宗清議員から言われたことをしっかり政治が受け止めて、これを教育行政に反映させるためには今の教育委員会制度にやっぱり何か改めるべきところがあるというふうに思っています。
だから議員同士で、公選職同士でこういう教育の議論をいろいろやってもですね、今の現行の教育委員会制度の下では教育委員会がそれを汲まなければできません。で、そういうことで良いかどうかなんです。
だから僕は、宗清議員のそのような政治価値を実現したいと思っていますので。もちろん中身についてはこれからいろんな議論をしなければなりません。教育基本条例についてですね。いろいろ問題点もあると思いますから。しかし政治的な一定の関与のありかたというものをしっかりとこれは打ち出さなければ、今言われたようなこと、これを教育行政に反映することは出来ないと思っています。
僕は、宗清議員が言われたことを実現したいと思っていますので、政治的中立性と言われているところに関して、やはり風穴をあけていくのをこの大阪府議会で期待しております。
宗清議員:知事、今のご意見ね、すでに風穴はあいているんじゃないかと思うんですよ。なぜなら橋下知事のしてきた教育行政というのは、就任当初は自分の持論を展開されて、20年度の私立学校の経常費助成を10%削減しました。
その結果、私学の専願率が前年よりも、18.2%だったものが16.5%に下がって公立志向になってですね。で、公立志向の中でも、志望校のランクを下げる生徒が続出して、定時制にも行けない子どもが167人出たというような問題もありました。
ちなみに平成21年の公立学校の定員割れは1校だけだったんですが、今年度は180度方針を転換されまして、いま私学が無償化されました。その結果、私学の専願率は前年度17.4%だったものが23.1%になっています。私学に受験生が集中して、公立の4割、49校が今年定員割れということになりました。
こういう状態になったのは、子どもたちや学校の責任ではないと思うんですね。知事が子どもたちの影響を全く考えず、こういう政策をされた結果、これはもう激変だと思うんですよ。
不本意入学とか中退なんかも増えるんじゃないかということは心配しています。制度の激変の結果、超難関校とそうでないところと二極化の傾向にあるんではないかなというふうに思います。
高校選択する児童生徒にとって大変重大な問題でありますから、きちっと検証し、そしてていねいな説明をして、激変緩和の措置も取って、そういうことがセットになって政策をしっかり転換できるんじゃないかということを思っております。
これは教育の原点を忘れて受益者のための政策、しっかり私はそこを見極めて政策をやっていくべきだと思うんです。こういうことについて橋下知事がどのように思われているのかをお聞きしたいと思います。
橋下知事:僕は先ほどの「りんくう事業」についてのご質問や、「槇尾川ダム」のご質問、またこの「私学助成」のご質問をお聞きして、どれだけ行政というものが能力をかけて、議論を尽くして、どのような観点でこの制度を作り上げて、どのような形でその政策を推進していくかについて、やはり議員に理解が足りないなというふうに思っています。
これは二元代表の下で、行政の中に入ってないから仕方ないかもしれませんが、そりゃね宗清議員がいわれたことなんて、もう全部資料残してますけども全部議論し尽くされていますよ。メリット・デメリットの中で。
これ、私学助成拡充しろ、拡充しろというのは議会の意見でもいろいろあったわけじゃないですか。これやるのホント大変だったんですよ。金を作ってくるの。そりゃ民主党さんみたいに、財源無い中で、あれやるこれやるなんてそんな無責任なこと言えませんからね。金を持って来るの本当に大変だったんですよ。ホントに。
この私学助成だって1年半かけて、全部局集めて皆で徹底討論しましたよ。メリット論・デメリット論ありますけどもね。やっぱり保護者負担というものを無くしてそして学校間切磋琢磨で教育の質を上げてもらう。だから2極に分かれるとか、いろいろありますけどね。学校、努力していますって。私立だって。
で、生徒を大量に確保したって、だめな授業だったり、だめな教育サービスだったらすぐ生徒が離れていきますよ。それは教育委員と私学の校長さんとの議論でも私学が必死になって反論していましたよ。そんな甘いもん違うと。卒業させるためにどんだけ努力しているんだと言ってましたよ。
ですから今回のこの政策は、学校に基本的に頑張ってもらう。任す。生徒を獲得して、しっかり特色を出して、生徒が集まるような学校にするために今回もう、なけなしの金をかき集めてきてそれで何とかこの政策を打っているわけですから。あとどこを答えたらいいんですか。僕は。
宗清議員の質問、いいんですよ。権力のチェックのアレで。でもね、あまりにもね、そこじゃないでしょと、質問は。もっと違うところをね。判断過程とか、ここが違うとか、もっとどんどん言ってもらったらお答えしますけど。違うところを。バクッと「良いか悪いか」という話ではなくて、もっと鋭い質問、いつものようにどんどん鋭い質問をして下さいよ。
宗清議員:いつもやさしく質問させていただいていますから。そんな、知事にグサグサ言うような質問はしていません、私はね。
そういう政策方針転換されたでしょ。その時に公立から私立、私立から公立に生徒が流れているじゃないですか。それを橋下知事が誘導されているのはわかるんですよ。それに反対しているわけじゃないです。そこにいくまでに激変しているじゃないですか。その時に、子どもたちとか迷惑かかるんじゃないですか、と。そういうことを橋下知事に、後しっかり議論尽くしてもらいたいということで、ここのことは言っているんですよ。
知事も、財源の話もありましたけど、ずっと固定化するということは言ってませんよね。だからそこはしっかり今年の1年見てもらったら、次の年こういうことになったからやり変えますよとか、教育委員会とも話をしていきますよとか。
何か49校定員割れしたことが全部、教育委員会、学校が悪いということで言わされたら子どもたちどうなるんですかということを申し上げているんですよ。私は知事にそのことだけを申し上げたいんです。聞いていませんのでね、知事。
橋下知事:確かに激変といわれるのはおっしゃるとおりですけども、しかし私学に流れたということは、私学行きたかったんですよ、この生徒。この制度が無かったらこの生徒、行きたくない公立に行かされてたんじゃないですか。
そりゃマクロで考えて、教育委員会の方から見たら、生徒がいなくなった、定員割れだ、何か維新の会は統廃合のルール作って無茶苦茶やるわとかいろいろありますけどね。でも生徒見て下さいよ。私立行けたんですよ。今まで行けなかった生徒が3,000人。この部分をどう考えてらっしゃるんですか。
マクロとか激変とかそんなこと言うんじゃなくて、3,000人いる子ども、目の前に今まで私立に行けなかった生徒が行けたというところを聞いてみて、そこ言って下さいよ。僕、そこ一番やりたかったんですよ。
宗清議員:知事、3,000人のことを私、さっきから言ってません。そんなこと聞いてないんですよ。激変になってその緩和措置を知事考えられないんですかということを聞いているんですよ。
橋下知事:解りました。じゃあ議論を整理しますけど、激変のデメリットは誰が受けるんですか。デメリット、そこをまず確定してください。子どもたちは、だって行きたい子は行くわけじゃないですか。だからデメリット受けているのは公立の学校ですよ。定員割れした。誰のことを対象に議論しているのか僕、解らないんですよ。誰なんですか、激変というのは。
宗清議員:じゃあその前の年の子どもはどうだったんでしょうか。それとね、私学と公立はイーブンと言いますけど、入学試験とか決定の日も違うんですよ。それならそれも全部イーブンなんですか、知事。
橋下知事:この制度を前提にイーブンに考えることこそ教育委員の役割ですよ。それ、入試っていうところに関してですよ。今までの慣行とか、校長会の意見を聞いて、入試を早めると3月の授業が成り立たなくなるからなるべく入試は早められないとか、それは教育委員会のまさに権限と責任で。
そんなところに僕が入ったら、それこそ教育への不当介入ってまた共産党さんや民主党さんから怒られるじゃないですか。
そこは権限分配で、地教行法に基いて、入試とかそういうところについては教育委員会が決めてもらったらいいんです。教育委員会の責任ですよ、それは。この制度というのは一年半前から議論されていたんですから。入試の問題とかそういうところを勘案して教育委員会が決めればいいんです。
宗清議員:じゃあ中西教育長、全部教育委員会の責任ということなんですが、教育委員会の責任ということでわれわれ理解していいんでしょうか。
中西教育長:突然のご質問で戸惑っておりますけれども。昨年来私ども教育委員会も、知事とホントに真剣な議論をやってまいりました。
私自身もかつて私学助成を担当しておりまして、私学と公立が本当に競い合って教育活動の向上をめざす、そのことは非常に大事だと思っていますし、今回そういう意味で生徒の学校選択の幅が広がり、かなり共通の土俵が出来てきた、私これは大阪の教育にとって大きなプラスにしていきたいと思っております。
ただ、そういうプロセスの中で、急激な変化に伴って一定のいろんな矛盾が出ていることも事実ですので、私やっぱりそういうことを一つひとつ前向きの努力で公立も力をあわせて克服をしていきたいと思っていますし、そのことによってホントに生徒保護者に望ましい形が実現できますように努力してまいりたいと考えております。
宗清議員:中西教育長、しっかり頑張って下さい。
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