≪質問項目≫
高校の授業料無償化について
①私立高校の授業料の適切な保護者負担について
宗清議員:今年度の1年生から橋下知事は私立高校の授業料610万円まで無償化ということで、800万円までは10万円が限度になりました。その結果、私立高校へ進学する生徒は前年と比べて3,000人余り増えたそうです。公立へ進学する生徒は3600人余り減っているそうです。
知事は、私立高校の入学者が増えることによって、より多くの授業料収入と経常費助成を受けることができ、法人経営面でプラスになるということで主張されていました。しかし本当に知事の理屈が正しいのか、われわれもいまだわかりません。
私立学校では特色ある教育を提供するために、公立よりも高い授業料を保護者に求めて運営している学校もあります。ところが、授業料無償化のしくみを利用するならば、従来58万円以上の授業料を受け取っていた学校は、58万円を超える分を学校自ら負担する形となります。
学校により、状況は異なると思われますが、人数が多ければ相当な金額になります。必ずしも知事が主張されたような法人の経営にプラスになるとは思われない状況もあります。
また、私学の経営が苦しくなれば校舎の耐震化への投資がなかなか進まないのではないかということも懸念しております。
大阪の私立高校の耐震化率は、平成22年4月1日現在、59.6%であります。全国平均は67.4%でありますから7.8ポイント低くなっています。私立高校に通う生徒は公立高校の生徒と同じ大阪の子どもたちであります。校舎の耐震化、子どもたちの安全確保、命を守るということで言えば公私の格差があってはならないと考えます。
わが会派の要望もあり、橋下知事は、府有施設の耐震化を1年程度前倒しする旨の意向を示されていますが、3月11日の震災をきっかけに、公共施設の耐震化を急がれるということであれば、私学の校舎も公共施設と同様な対応を取られても当然であると考えます。
知事は、私学の耐震化が遅れるかもしれないということについては対策等どのように考えておられるでしょうか。さらに特色ある教育を継続し、生徒の選択の幅を広げるためにも、58万円以上の授業料を求めていた学校については適切な保護者負担も求めるべきではないかと思いますが、知事のお考えを聞かせて下さい。
橋下知事:今、公立も私立も高校は同じように扱うといっては失礼ですが、同じ土俵に乗っかってもらおうというそういう方針でやっていますので、耐震化についてもそのかかる費用についても本来はきちんと公立にかかるのと同等の助成といいますか、サポートを私学にしなければいけないと思っているんです。それが原理原則です。
ただ財政上の制約から、今回は授業料助成の方に大きく財源を投入しましたので、この耐震化については国の補助を使ってもらいながら私学のご判断で進めていただきたいと。気持ちとしては公立と同じようにやらなければいけないという思いは、それはもう議員ご指摘の通りですが、お金の使い道の優先順位のつけかたとして今回は授業料の方の助成の拡充に当てさせていただきました。
それから58万円以上の授業料というものを、ですから認めるべきだというまず前提なんですね。今回の新しい私学助成制度、これは僕のどうしても譲れない一線がありまして。保護者負担を増やさないというところがもう、どうしても譲れない一線だったんです。
これは、不妊治療の公費投入の時の政策の作り方の一つの考え方であるんですが、例えば補助金を入れてもですね、不妊治療というのは助成を入れても、全体の利用者に対する料金をどんどん上げていってしまうと、助成費入れても、入れても負担が全然減らないんですね。
だからどっかでキャップをかけないと、助成を入れても実際の府民の負担というものが抑えることができない。だから今回58万というところは、これは私学団体にもご協力をいただきましたが、キャップをかけさてもらいました。ですから助成を入れた分だけ、しっかりと保護者負担がその分無くなると。
僕はここが一番ポイントだと思っているんですが、各学校特殊性に基いて授業料を上げたいと。58万じゃなくて70万の授業をやりたい、80万の授業やりたい。だから58万以上の部分は保護者から負担求めると言ったら、結局私学、保護者負担が公立よりも増えるという事態を許してしまいます。たぶん1校がそういうことをやれば、うちもやる、うちもやるということになって。
今までの私学の負担、授業料負担というものも一定の保護者はやっていたんですね。20万とか30万とか。そこまでは負担できるんじゃないかといって、結局58万からどんどん授業料が上がっていってしまう懸念がありましたので、ここの一線だけはどうしても緩めることができないということで、58万円のラインをひいて、保護者負担は610万円世帯まではとにかくゼロ、800万世帯までは10万円というところは堅持しようとしております。
ただ、この制度がいやだと。もっと高い授業料で、もっと違う教育をやりたいんだというところは、この制度から外れていただいたらいいわけでして。実際に今回も私学の中に1校、この制度に乗っていない学校がありますので。そういうのも私学の選択かというふうに思っています。
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