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 近畿の実力私学50選

学校法人 関西大倉学園

関西大倉中学校・高等学校


松村健司 校長先生へのインタビュー


「自信を持たせて送り出す」

学校本来の役割を再確認

〔25.10.28号より全文掲載〕


―― 少子化に伴い、大阪府でも公立高校の厳しい校数削減の方向性がうかがわれますが。

松村: 今後10年の間に、府内の15歳人口は、もはや年々均等に減っていくといった状況ではなくなっているのが現状です。

 公立校だけでなく私立校にとっても、厳しい痛みを伴う縮小が求められていくことは間違いないでしょう。

 一方、大阪府内の私立高校では今年、志願者数が昨年に比べて増加傾向となりました。

 が、公立高校と同じく、募集が厳しい学校は多く、今後、私学各校が“評価していただける学校”として存続していけるのかどうか、これまで以上に厳しく問われていくと思います。




進路のサポート体制が充実

―― 御校は、創立120周年を契機に施設設備を刷新されました。また、大学進学についても国公立大学への合格者数が200名を超えるなど注目を集める一方、教育改革への不断の取り組みにも受験生の関心が高いようです。

松村: 本校では、例えば京都大学の高大連携プログラム「野生動物学初歩実習」など、次世代型教育にも早い時期から取り組んできました。

 こうしたアカデミックな学びのステージを増やす一方で、進路選択に際しても「この大学でこれを学びたい」など、明確な目標を持つことの大切さを生徒たちに伝えています。

 「いい大学」のその先を見据え、「なぜ学ぶのか」「学ぶ目的は何か」あるいは「何を目的として社会に出ていくのか」など、一人ひとりがビジョンを明確化することが必要です。

 進路サポートの体制づくりにも長年力を入れてきたところであり、“目標を簡単には諦めない”気概を持って個々の進路に取り組んでもらえるようメンタル面も含めた支援を心がけています。

 大学進学のニーズそのものは、今後も大きく変わることはないでしょうし、成果や実績を通して各校が“ふるい”にかけられていく側面も変わらないと思います。

 ただ、それだけではなくなってきていることも確かでしょう。私自身は「社会に出て活躍できる人をどう育てていくのか」という視点が、より一層クローズアップされていくものと考えています。

 生徒たちに自信を持たせて送り出すという学校本来の役割が、改めて問い直されていくのではないでしょうか。




時代にフィットした学びを発信

―― 御校では、海外留学などグローバルな学びも推進されていますね。

松村: つい先頃、マレーシアのスウィンバーン工科大学の先生方が来校され、留学説明会が行なわれました。

 説明会に参加した生徒の中には、高校生に交じって中学生の姿も見られ、また大学卒業後の就職先など英語で熱心に質問する生徒もいて、意識の高さに改めてハッとさせられました。

 関倉にも様々な価値観、考え方を持った生徒たちがおります。自分の好きなものを見つけて一生懸命に頑張ることで輝きを増していく生徒たちの姿に、我々教師自身が励まされています。

―― さて、国においては次期学習指導要領に向けた改訂作業もスタートしましたが。

松村: これからの時代、形のないところから新しいものを柔軟に生み出していける力が求められています。

 そうした流れの中、従来の学校教育では「当たり前」とされていたことも、徐々に変化していくのかもしれません。

 様々な変化に伴って、失われていくものがあることは否めませんが、それでも時代にフィットした学びを追求し、発信していくことが必要だと感じています。

 日々変容する社会の中で、社会生活に欠かせない大事な価値観をきちんと押さえておくことは重要です。そのうえで、関倉を巣立っていく一人ひとりが自信を持って社会で活躍できるよう、学校改革の歩みを着実に続けていきたいと思っています。


―― ご多忙中、ありがとうございました。<文中敬称略>


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