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 近畿の実力私学50選
学校法人 同志社

同志社女子中学校・高等学校


中村久美子 校長先生へのインタビュー


高校・大学での学びを見通した教育

大学併設校の強みを発揮

〔21.9.8号より全文掲載〕


―― 貴校は、日本の女子教育に先駆的な役割を果たしてこられました。合わせまして大学系列校の魅力についてお聞かせいただけますでしょうか。

中村: 同志社大学・同志社女子大学への内部推薦制度がありますので、受験勉強にとらわれず、6年間伸びのび過ごせるということが、大きな魅力だと思っています。

 日々の学習では、解法のテクニックより「なぜそうなるのか」を考えるような本質的な学びができ、真面目に授業に取り組む生徒たちの姿勢に、自ずとつながっているような気がしています。

 私は数学の教員ですが、中学生の段階ではとくに「今学んでいるこの単元や領域が、高校や大学で、どのような学びにつながっているのか」を生徒たちに意識させるよう心がけています。学習のめどが立ってくると、実際に学ぶ意欲も高まってくるんですね。

 昨今は、アクティブラーニングや探究学習の必要性が盛んに言われています。本校の場合は“女学校”の時代から、各自が自分で調べたことについてレポートを書く作業を多く取り入れてきましたし、理科の授業では「仮説・実験・考察」のプロセスを当たり前のように繰り返してきました。

 そうした取り組みは、大学の先生方から「レポートや論文の書き方がしっかりしている」との評価をいただくことにもつながっているものと考えています。

 また、本校では高校生が中心となって学校行事を企画運営します。中高の生徒たちが協力し合って行事を作り上げる中で、ノウハウや伝統が継承されていくのも良い側面といえるでしょう。

 クラブ活動も中1から高3までの生徒が一緒に行いますので、上級生がごく自然に下級生の面倒を見てくれますし、指導もしてくれますね。

 それと、毎朝20分間行う礼拝にも大きな意味があると思っています。礼拝の時間には、人生経験豊かな先生方のお話や聖書の言葉から、物ごとを深く多角的に見ることを学んでいます。


大学のゼミや模擬法廷にも参加


―― 同志社系列校では高大連携も盛んに行われていますね。

中村: 本校は敷地内に女子大があり、また同志社大学の今出川キャンパスにも隣接しています。高大連携を通して、本校の生徒たちが、実際に大学で行われている授業に大学生と一緒に参加させていただく機会も多く、中には、ゼミのクラスや法学部の模擬法廷に参加できるプログラムもあります。

 また、女子大の薬学部や看護学部の実習棟見学会には、本校の中3生も参加させていただくようになりました。


卒業生の約9割が同志社大・同志社女子大へ

―― 中・高には「リベラルアーツ(LA)コース」と「ワイルド・ローヴァー(WR)コース」がありますね。
中村: 「WR(ワイルド・ローヴァー)コース」は、理系の進路をめざす生徒を対象としています。

 中学校の3年間は、LA・WRの混成クラスとし、人間性の育成と基礎学力の定着を図るとともに、WRコースでは土曜日特別授業を展開しています。

 高校では、英、数、理の授業時間を多く設定し、理系進学に必要な実力を養成します。

 WRコースの進路状況は、クラスのほぼ3分の1が、当初から内部進学を希望、3分の1は内部推薦も視野に入れつつ他大学の推薦型・総合型選抜にもチャレンジ、ほか3分の1は内部推薦の権利を放棄して国公立大を目指す、といった毎年の傾向となっています。

 本校では、卒業生のほぼ9割が内部推薦を受け、そのうち約95%が同志社大学に進学します。

 また、同志社女子大学をめざす生徒の中には、例えば看護・薬学・管理栄養士・小学校教員など実学系の進路を見据えている人が多く見受けられます。

―― この1年余り、各私学でもコロナ対応で大変だったとお聞きしますが。

中村: コロナ対応では、行政から日々多くの通知書類が送られてくるなど、正直戸惑った部分もありましたね。ただ、ICT関連の取組みについては、これからの時代に不可欠のものとして、引き続き積極的に取り入れていく必要があると考えています。

 本校は、新校舎の完成から5年目を迎えました。キャンパス内には、これまで大切に守られてきた建物もあり、保存修復作業を進めています。伝統ある教育環境を活かす一方、新しいものにも心を開いて取り組んでいくことがとても大切だと思っています。

―― ありがとうございました。<文中敬称略>


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