―― 今春の統一地方選での「維新の会」躍進について。
高橋:大阪維新の会が躍進した背景には、多くの府民の人たちが感じている非常な閉塞感があったのではないか。
橋下知事は、バッシングの対象、すなわち批判の対象をその都度定めながら、人々の喝采を得る形で人気を上げてきたところがあるようだ。
このような手法は一般的にポピュリズムといわれるが、まさにそうしたタイプの政治家と言えるだろう。
「競争に勝ったものに投資を」
色濃い市場経済主義
―― 学力テストの問題では、教育に競争を持ち込もうとする動きが際立ったが。
高橋:発言内容や、提出された条例案の内容を見る限り、基本的に強者の思想が反映されていることを感じる。「競争に勝った者に投資しよう」という考え方が色濃くうかがわれる。
―― 大阪都構想など、東京都を強く意識した施策にも特徴があるが。
高橋:日本は地方分権や、地方の尊重がまだまだ不十分であり、この点は改善が必要だと私自身も常々感じているが、そのように感じる人々の思いや“夢”のようなものに対して強く訴える効果もあるのではないか。
―― 大阪維新の会が府議会に提出している教育基本条例案や職員基本条例案について。
高橋:条例案に込められた思想、そして橋下知事自身の思想について解析すると、そこには「選挙で勝てば民意を代表している、だから何でも出来る」という構図があり、権力に対する信仰すらうかがわれる。
仮に49対51の割合でも、過半数を取れば代表になるわけだから「民意を代表している、即ち民主主義だ」などと言い切ってしまうのは非常に乱暴な話ではないか。
大切な有権者の判断力
高橋:ある種のセンセーションを、または政治家によるアピールを冷静に受け止め、判断することがこれから有権者の人々にとっては必要であり、重要になると思う。
不満を解消してくれるレトリックと “一見実行力がありそう”な政治家が大衆に支持される流れは、大阪・東京・名古屋をはじめとして、日本の政治全体に広がっているようだ。
※本文要約
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