「ドテラ」や「夜スペ」で一躍マスコミの波にのった東京杉並区の和田中学校。現大阪府の教育担当顧問になっている藤原和博氏がリクルートから民間校長として杉並区に招かれフレーム作りをしたとされる。
応援部隊として、これまでのPTAを解体し、あらたに「地域本部」や「学校運営協議会」などを結成し、学校教育を側面からサポートする体制を作ったといわれる。
しかし、藤原氏の学校改革については同校の教員からも異論が多く出されたという。
学力面や総合的学習に対する生徒の関心について、近隣のA中と比較検討した東京大学大学院教育研究科の苅谷剛彦教授らの報告書「杉並区立「和田中」の学校改革」(岩波ブックレット)の中では、改革による学力の有意性はA中より低く、「よのなか科」に対する生徒たちの関心は生徒全体の40%程度だったことが明らかにされている。
地域本部の協力で放課後、サピックスやトライなど塾が導入され、公立中学校の教育が本来持つ「学校教育の教育理念」との乖離を生じさせ、生徒たちを混乱させたことも、報告書を通して読み取れる。
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PTAを解体し、杉並区教育委員会から指定も受けているという「学校運営協議会」。
2008年度の名簿(和田中のホームページ)をみると、藤原氏の後任として和田中学校長に就任したリクルート出身の代田昭久氏、「百マス計算」で一躍マスコミに取り上げられ大阪府の教育委員にもなった陰山英男氏(学識経験者・立命館小学校副校長)、清水たかみ・和田中地域本部事務局長(校長推薦)、梅田久恵・和田一丁目会長(校長推薦)、内室一美・「保護者の会会長」(校長推薦)、吉田さと・和田小学校前PTA会長(校長推薦)などが委員として、また、準委員として杉並区教育改革担当の森仁司・部長、文部科学省初等中等教育局の関埼徳彦氏が名を連ねている。
また「協力会社」には、公益法人にもかかわらず膨大な利益を上げ、文部科学省の査察を受けた漢字検定協会の大久保浩・副理事長の名前や、佐伯一行・英検協会顧問、有限会社セルフラーニング研究所、IEインスティチュート、株式会社ウィルシード、キャリアリンク(全国よのなか科ネットワーク事務局長)などが参加している。
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杉並区長の山田宏氏と藤原和博氏および陰山英男氏の関係をみると、2005年に発足した「NPO法人日本教育再興連盟」に行き着く。
この組織は、河村健夫・現内閣官房長官、陰山英男・大阪府教育委員、野口芳宏・日本教育技術学会理事(名誉会長)、経済同友会の北城恪太郎・代表理事、北川正恭・早大教授(元三重県知事)、作家の林真理子氏、精神科医・和田秀樹氏、藤原和博・大阪府顧問、山田宏・杉並区長、株式会社ウィルシードの船橋力・代表取締役、元教育再生会議委員で現横浜市教育委員をしているヤンキー先生こと義家弘介氏、日本の核保有論議を唱えるジャーナリストの桜井よしこ氏らが、発起人として名を連ねているが、メンバーをみると「新しい歴史教科書を作る会」のメンバーとダブる部分もある。
(参考=http://www.kyouikusaikou.net)
日本青年会議所も、教育問題に関するセミナーなどでは、こうした教育の考え方と方向性を一にしていると思える。 和田中でこれまで起こった事故や住民訴訟など、マスコミで報じられない側面については、www.news.janjan.jpが、署名入りで詳しく報じている。