アメリカ合衆国では、1966年に制定された情報公開法が存在します。この法律にもとづき、世界中から誰でも情報公開請求を行うことができます。
但し、国家安全保障に関する情報、法執行のために編集された調査記録、大陪審に関する情報、個人のプライバシーに関する情報などは、情報公開法によって公開に制約が加えられています。
このほか、ビジネスに関連したものや知的財産にまつわる情報などにも細心の注意が払われています。
米国国立公文書館(NARA)では、これらの制約もいずれは期限切れとなり「全ての情報は入手可能になる」と考えていますが、実際には情報の入手に何年もかかることがあります。
情報請求を行う際には、入手したい文書やトピックについてなるべく具体的に述べる必要があります。
請求を受けた各省庁およびNARAは、情報公開法に定められた期限内に全ての対応記録をそろえなければなりませんが、請求の数が膨大な上に整理できていない記録もまた膨大なため、法定期限を守れないこともあるのです。
また、法定の除外項目に当たるとして情報の公開が断られた場合には、不服を申し立てればさらに高いレベルの省庁に訴えることができますし、連邦裁判所に訴える権利もあります。
アメリカでは実際に、こうした請求や訴訟が数多く起こされています。
オンライン化を促進
実は、連邦の省庁のうち、情報公開の手続きに最も時間がかかるのはNARAだとされていますが、国家安全保障関連の情報請求を受けることが多いのも理由の一つです。
機密情報を所有するのは、あくまで作成に当たった各省庁ですので、機密解除にあたっても各省庁に参照する必要があるわけです。
情報公開法は、メディアや一般の人々が情報を入手する上ですばらしい道具であることは確かですが、時間やお金もかかります。
NARAで所蔵されている記録は、検索目録が作成され、ウェブサイトでも見ることができます。現在、所蔵する全記録の55%がオンラインで紹介されておりますが、2008年までにはその割合を80%にまで高めたいと考えています。
こうした作業に天文学的な費用がかかることを避けるため、私どもはあらたに民間の非営利団体と提携しました。
それにより、何億という数にのぼるマイクロフィルムのデジタル化が行われようとしていますが、まだまだ道のりは遠いようです。
ほかにもいくつかの提携を結びながら作業を進め、研究者に関心の高い記録をオンライン化していく計画です。
データベース化された情報記録の中には、外交史を調べる上で有効な電報なども含まれています。国務省では1973年から電報の記録作業を進めており、現在、オンラインでアクセスすることもできるようになりました。
国家の機密情報は、様々な大統領命令を通して、ルールにもとづき解除されています。
情報は、最も機密レベルの低いものから最も高い極秘レベルまで3つに大きく分類されますが、ほかにもその存在すら知られていない情報があります。
NARAが記録を受け入れた後も、その多くはまだ機密指定を受けた状態で、現在適用されている大統領命令は、2003年にブッシュ大統領によって発令されたものです。
機密解除そのものは、情報の状態を「機密情報」から「非機密情報」に変更するだけのシンプルな作業ではありますが、手続きはとても複雑です。
<つづく>