年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
はじめに、昨年一月に発生した能登半島地震やその後の豪雨災害でお亡くなりになられた方に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、今なお不安な生活を送られている方、被災された全ての皆様に心からお見舞いを申し上げます。
激甚化・頻発化する自然災害に備え、学校における防災の重要性を改めて考えさせられたところです。京都府では、子どもたち一人一人が自らを守り、進んで他の人や地域の安全を支えるリーダーに育つよう防災教育の充実に努めるとともに、発災時の学校支援体制を強化するため、学校再開支援チームを早期に創設してまいりたいと考えております。
一方で、パリで開催されたオリンピック・パラリンピックをはじめ、多くのスポーツ・文化の活動によって勇気をいただき心温まる一年でもありました。
京都府においては、優れた資質のあるジュニア選手の発掘・育成を行う「京都きっず」の修了生が、フェンシング男子フルーレ団体戦にて見事金メダルを獲得されました。この快挙はあらゆる世代に感動を与え、生涯にわたってスポーツに親しむ機運の醸成につながったと感じております。
さて、未来を創る担い手として子どもたちを育成していくには、変化し続ける社会の中においても、我々がこれまでから大切にしてきた価値観や理念は変わることのない教育の「不易」として承継しつつ、ICTや生成AIといった新しい技術を効果的に活用し、令和の時代の学びを実現する必要があります。
小中学校においては、「京都府学力・学習状況調査~学びのパスポート~」の調査結果から、児童生徒一人一人の学びの状況や一年間の成長・つまずきなどが、確かなデータとなって表れてきました。
今後は、さらに学力と学びに対する積極性といった、いわゆる非認知能力との関係性に着目し、多様な観点からデータ分析を行うことで、個に応じた指導や授業改善につなげるなど、より効果的な学力向上に取り組んでまいります。
府立高校においては、全ての生徒が「夢」や「志」を抱き、その実現に向かって挑戦できる学校を目指し、一昨年策定した「魅力ある府立高校づくり推進基本計画」のもと、教育環境の整備と入試制度も含めた高校改革を一体的に進めることとしております。
また、海外で探究活動に挑戦する新しい留学制度や同じ興味・関心を持つ生徒同士がオンライン上で専門的な指導・助言を受けながら共に学ぶことができる新しい学びの場を提供するなど、大学や企業が集積する京都府の強みを生かした、これまでにないスケールの大きな学びの機会を創出してまいりたいと考えております。
さらに、特別支援学校においては、地域における特別支援教育の中核として、その専門性の向上を一層図り、各校種や地域性等の諸課題を踏まえた今後のインクルーシブ教育推進の方向性を示し、取組を進めてまいります。
教育を取り巻く環境は複雑・多様化し、近年、不登校児童生徒が増加しております。このため、多様な居場所づくりや悩み・不安に寄り添った相談支援に加えて、不登校兆候の早期発見に向け、一人一台端末を活用した心や体調の変化を可視化する「心の健康観察」を行うこととしており、データによる観察とこれまで大切にしてきた教員の見守りによる「気づく力」を組み合わせることで、より安心して学べる学校づくりを進めてまいります。
また、様々な教育課題に応えるためにも、子どもたちの学びを支える教員にとって働きやすく、働きがいのある職場づくりに向け、より一層、学校における働き方改革を進めたいと考えております。
今年、いよいよ開幕する大阪・関西万博は、生涯で一度あるかないかのイベントであり、国際理解を深めるとともに、未来社会について考えることができる貴重な機会であると捉えております。
また、京都府においても、地域の伝統や文化を学び、理解を深めることを通して豊かな人間性が育まれるよう、丹後の歴史・文化の探訪と観光の拠点施設として、丹後郷土資料館のリニューアルを進めるなど、府内が有する豊富な文化資源を活用した取組を、引き続き進めてまいります。
全ての子どもたちが、「自分はかけがえのない存在として、愛され、見守られている」と実感し、「包み込まれているという感覚」の中で自己肯定感を育むには、学校だけでなく、家庭・地域社会との連携・協力が不可欠です。
子どもたちがよりよい社会と幸福な人生の創り手となれるよう、皆様と手を携えながら、新しい京都府の教育の実現に全力を尽くしてまいります。
結びにあたり、今年一年の皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。
※以上全文掲載
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