これから2~3年後、2府3県同時生徒急減の厳しい時期が到来することが予測されている。私立中学校高等学校だけでなく公立中学校や公立高校も例外ではない。
さらに懸念されるデータがある。2017年現在の全国総労働者数約5,400万人のうち2,000万人を越える非正規労働者、そのうち約40%が15歳~44歳の男女で占められているという。
単純に考えても約800万人の若い人々が、年収100万円から200万円台の低賃金で生活することを余儀なくされている現実がうかがわれる。当然、結婚どころではないだろう。
非正規労働が一般化してきたのは小泉政権以降。仕事を斡旋する人材サービス会社が並行して増加した。
経済学者の竹中平蔵氏が顧問となっている大手人材サービス会社のパソナを筆頭に、約6万6,000社もの人材サービス会社が全国に広がっている。
米国の場合、そうした会社は約1万5,000社程度だといわれているが、これに比べ、実に何倍もの数の人材サービス会社が「人を斡旋する」ことで手数料を利益として受け取っている現状だ。中には40%前後という高い手数料を手にししているところもあるという。
今年1月、賃金未払いや最低賃金を下回る違法企業が厚生労働省より実名入りで公表された。また、非正規で働く郵便局員が同一労働同一賃金を求めて提訴し、先ごろ勝訴判決が出されている。
職安法では元来、ハローワーク以外で私的に職業紹介や斡旋をすることが禁止されてきた。
労働の対価をこのような形で事実上奪われていく状況に対しては、日本政府へのILO勧告が度々出されてきたことも指摘されている。“民活化”のもとで、なし崩しになっているようだ。
日本国憲法では、人が人として生きる権利が保障されている。「健康で文化的な最低限の生活」は、今後の憲法改正論議によっていったいどうなるのだろう?
若い労働者の人々が非正規労働者として位置づけられる状況は、少子化を一層加速させる状況でしかない。日本の経済政策は“富国ではなく負国”を作ろうとしているのではないのだろうか。
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