大学入試共通テストの英語に、2020年度から民間英語検定だけを採用するA案と、共通テストか英語検定の選択もしくは併用型のB案が、5月16日文科省から発表された。
6月中に関係団体等のヒアリングを行ない、他の大学入試共通テストと共に実施方針を策定したいとしている。
関西の高校から聞くところによると
「キャラクターが異なる色々な英語検定試験があるが、その評価の公平性を担保できるのか、また検定も異なるし、共通テスト以外の出費を受験生たちに負担させることになる」。
「そもそも聞く・話す・書く・読むということはツールの問題で、大学入試では英語のテストを通して論理性や思考力、などを幅広く詳しく考査される。これまで蓄積された大学入試センターのデータを活用したセンター試験のニューバージョンを共通テストにするほうが公平性を保てると思う。ツールは大学に入学できてからでも十分に身につけることが出来る」
など、民間英語検定の全面導入案を疑問視する見方も多い。
そもそもこの英語検定業者の大学共通テストの導入は、安倍内閣の国家戦略構想の基本を成している“民間活力の導入”に伴うものといわれるが、実際には教育行政の利権化以外の何ものでもない。
その一例が、文科省で立ち上げられた「英語教育の在り方に関する有識者会議」の委員の顔ぶれだ。
座長の吉田研作氏は上智大学の教授。上智大学は、文科省からの天下りが多いといわれる日本英語検定協会と共同で「teap」という英語検定試験を開発し販売している。
また、委員の一人である安河内哲也氏は実用英語推進機構代表理事という肩書きだが、出身大学は上智大学で、予備校東進ハイスクールの売れっ子講師でもある。
そして楽天株式会社会長の三木谷浩史氏。現在楽天の社員が文科省に出向したり、文科省から楽天に出向したりしているといわれる。
文科省で行なう全国学力調査テストをはじめ、全国の高校でこれから実施される「高校基礎学力テスト」の試験採点、大学入試共通テストなど、すべて民間業者へのアウトソーシングとなった場合、その高校生たちの成績など個人データの保護がどのようにして確実に行なわれるのか。
もし個人データが漏洩した場合どうするのかなど、文科省はその検証などについて全然触れていない。予備校など教育産業といわれる分野をはじめ多くの企業でそうしたビッグデータは顧客に結びつくということで、虎視淡々と狙われている。
5月30日には「高校生のための学びの基礎診断」に係る民間事業者などへの説明会が文部科学省で始まった。
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