第二次安倍内閣のもと、下村博文文部科学大臣が就任してから各大手塾同士や、専門学校などの経営者を中心に教育関係の財団を設立する動きが頻繁となっている。
関西では、マンモス塾といわれる日能研と浜学園・アップ企画などが団体を結成し、大阪私立中学校高等学校連合会との連携を図ったのをはじめ、兵庫県でも、元県教委の複数の幹部と、通信制単位制高校や大学を経営する学校法人が、『財団法人兵庫県進路選択支援機構』を昨年5月に立ち上げた。
兵庫県内での高校受験模試や、受験情報などを主な事業とし、各市町村教委や中学校長会、各中学校からの団体模試契約を営業していこうというものらしい。
財団法人に名を連ねているのは理事長に栗原高志元兵庫県教育長、理事に大橋節子・社会福祉法人「元気の泉」理事長、近藤靖宏・元兵庫県教育次長、服部孝司・神戸新聞社常務取締役、山口芳弘・前神戸市教育委員長、大西美喜男・監査法人トラスト代表取締役、監事に元原利文・元最高裁判事、大橋博・学校法人創志学園理事長=財団法人こども教育支援財団理事長、尾野俊二・みなと銀行頭取、貝原俊民・前兵庫県知事、評議員に梶田叡一・奈良学園大学学長=前兵庫教育大学学長、高士薫・神戸新聞代表取締役、蓑豊・兵庫県立美術館長ら“豪華キャスト”だ。
この兵庫県進路選択支援機構は、大橋博・節子夫妻が中心となり、その人脈を生かして設立。
夫妻は、元々地元で学習塾創造学園・創学アカデミーを起こし、その後通信制単位制高校のクラーク記念国際高校や環太平洋大学などを立ち上げてきた。
大橋博氏が束ねるもう一つの財団「こども教育支援財団」は、専務理事に創志学園東京国際ビジネスカレッジ校長の増田哲也氏、理事に北川正恭・早稲田大学大学院教授=元三重県知事、公益法人二十一世紀文化芸術財団の草原克豪理事長、日本レスリング協会福田富昭会長、㈱ミウラドルフィンズ・三浦恵美里・代表取締役、さらに評議員として大橋節子氏はじめ大塚敏弘・神戸創造学園理事長、学校法人明星学園の熊谷勝二・理事、学研ホールディングズの宮原博昭・代表取締役、監事に芝新一・元憲政記念館館長、田中茂・参議院議員=アジアネットワークフォーラム理事らが名前をつらねている。
市町村教委や中学校長会、各中学校から団体模試の注文を取るというが、個人情報保護法に基づく特定事業者として児童・生徒・保護者の安全性が確保できるのか、また委託して情報漏えいが生じた時点での中学校や校長会、町村教委の責任ある対処・リスク管理ができるのかどうか甚だ疑問だ。
『財団法人兵庫県進路選択支援機構』には元県教委関係者が多いようだが、兵庫県教委では「本県の教育行政とは全く関係ない」(兵庫県教育委員会談)としている。
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