大阪府の私学・大学課は大阪府内の私立学校に対し「国旗国歌に関するアンケート」を実施した。
私学関係者によると、大阪府では平成22年1月18日付で大阪府私学課から「卒業式及び入学式等における国旗掲揚・国歌斉唱について」の要請文書を出しており、それを踏まえたかたちで毎年こうしたアンケートが実施されてきたという。
今年5月16日付のアンケート依頼の文面には、学習指導要領で国旗・国歌は学校の「特別活動で行われる教育内容の一つ」とされ、「『入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。』と定められております。」と書かれている。
さらに『大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例』が平成23年6月13日に施行されたことも踏まえて、私学各校に「国旗掲揚・国歌斉唱の適切な実施」に向けた取り組みをお願いする
―― としている。
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こうした事態の背景には、維新が過半数をしめる大阪府議会で昨年10月15日に開催された教育常任委員会でのやり取りがある。
当時、大阪維新の会に所属の西野弘一府会議員(現在衆議院議員)が行った質問は、
「平成23年9月の教育常任委員会において、入学式や卒業式における国旗掲揚の実施状況について質問をしたが、私立高校におけるその後の状況はどうなっているのか」
「全く状況が変わっていないということだが、これまでどのような指導を行ってきたのか。指導に従わない学校(注・私立学校)については、学校名を公表し、学習指導要領に従うことを拒否している学校(注・私立学校)に対しては、補助金をカットすべきと私は考えている」
というものだった。私立学校に対し、国旗・国歌の実施を迫るものだったことがわかる。
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今年5月に実施されたアンケートの項目は、①入学式や卒業式で国旗を掲揚しているか否か、②入学式や卒業式で国歌を斉唱しているか否か、③その他授業等で国歌を指導しているか否か、④指導している場合の内容について、などとなっており、アンケート結果は「公表する場合がある」と「申し添え」られている。
教育関係者のあいだでは「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例は、教育公務員を対象にしたもの。自主性の尊重される私学に対し、教育行政が毎年、国旗国歌の実施に関するアンケートを行うこと自体、強制しているようなものだ。もっと慎重であって欲しい」との批判が出ている。
大阪府議会議員の発言の詳細は下記で検索・入手できる。
http://kaigiroku.gikai-web.jp/kaigiroku/osakafu/index.html
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