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 近畿の実力私学50選

学校法人 金蘭千里学園

金蘭千里中学校・高等学校


大中章 校長先生へのインタビュー


これからの教育に3つの理念

生徒・保護者・教職員の満足度高く

〔18.5.28号より全文掲載〕


―― 今年の4月、校長にご就任されました。抱負をお聞かせいただけますでしょうか。

大中: 本校の教育には、毎朝の20分テストと、1クラス30人体制という二つの大きな特色がございます。

 このうち毎朝の20分テストは、中間・期末などの定期テストを行うかわりに毎日20分間のテストを実施するもので、他校に例のない独特のシステムといえます。

 この二つの大きな特色を、今後も継承していきたいと考えています。


―― 進学校としての大学合格実績も注目されています。

大中: 数字そのものというよりも、キャリア教育の一環としての大学進学を、もっと追求していく必要があると私は考えています。その意味でも、キャリア教育は本校の第三の特色といってよいでしょう。

 例えば、千里中央のライフサイエンスセンター振興財団のご協力のもと、数年前から高校生を対象とした出前講座を実施しています。京大、阪大など大学の研究者の方々から、医学系・物理系・化学系など毎年異なる分野で最先端のお話をうかがっております。

 また、本校の教員のつながりから始まった「病理医体験セミナー」も生徒たちに好評です。セミナーは高校1・2年生の希望者を対象としたもので、病理学の専門家である大阪大学や順天堂大学の先生方に関わっていただき、夏休みが終わる頃に開催します。

 生徒たちはレクチャーを受けた後、少人数のグループに分かれ、がん細胞を実際に顕微鏡で観察し、それが本当にがん細胞なのかどうか、グループで討論しながら意見集約を行い、発表の際にもしっかりと根拠を示さなければなりません。

 生徒の知的好奇心は喚起され、導き出した結論が正しかったのか、明らかになるその瞬間も大いに盛り上がります。


社会で求められる3つの要素
―― 3年前の創立50周年を契機として、どのような教育の方向性を ――。

大中: 本校は「私塾」「道場」「自主独立」「スポーツマンシップの涵養」「自然に接する」を建学の精神として掲げ、1965年(昭和40年)に開校しました。

 爾来、前述の20分テストや少人数制を生かした徹底した個別対応、先を見据えた進路指導に加えて、「幅広い国際理解教育」「自然に学ぶ諸行事」「芸術に親しむ諸行事」など、人間力の育成に深.くかかわる教育を実践してきました。

 創立50周年改革では、あらたに“これからの50年”を支える教育の理念として「コミュニケーション能力」「リーダーシップ」「柔軟性」の3要素が加えられました。この3要素はまさに今の世の中、現在の社会において求められているものと考えています。

 改革の過程では、クラブ活動の充実や生徒主体の文化祭への転換も図られました。

 また、今春は生徒会活動も発足し、生徒たちがそれぞれに活躍の場を見出してくれることを願っています。


表現力育成へ多様な取り組み
―― 大学入試改革に向けてのご対応は ――。
大中: 本校では長年、毎朝の20分テストに取り組んでおりますが、その内容は単なる穴埋め問題にとどまるものではありません。文科省が“学力の3要素”としてあげている中においても、知識技能、思考力・判断力に十分対応したものと考えております。

 一方、思考力・判断力に続く「表現力」に関しては、数年前からテコ入れが始まりました。プロの劇団員を本校に招き定期的にワークショップを開催する中で、生徒たちが自ら身体を動かして、自分の感情や考えを相手にどう伝えればよいのかを体験的に学んでいきます。

 また、技術家庭や情報、国語科や社会科など各教科でプレゼンテーションを伴う授業も実施しています。

 大阪のグランフロントで開催される「ナレッジ・イノベーション・アワード」にも中学生全員が参加しており、グランプリを獲得する生徒も出てきました。

 こうした成果にも後押しされるような形で、今春は、中学校の国語科で現代文の週3時間の授業うち1時間、「表現」の時間に「クエストカップ」という一連のプログラムが正式に導入されました。

 こうした取り組みは今後も、カリキュラムに比較的余裕のある中学校において積極的に展開してまいります。


―― 大学入試改革では、大学側の二次試験のウェイトが結果的に高まっていくことも予測されているようですが。

大中: 高校段階ではやはり、大学入試を意識した従来型の学習を引き続き展開していくことが大切だと考えています。

 教育については今後、本当の意味でその中身を充実させていくことが重要な時代になっていくでしょう。生徒・保護者、さらに教職員も含めた学校の満足度を、より高めていくことが大切だと思います。


―― ありがとうございました。<文中敬称略>


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