私立高校の授業料無償化(厳密には無償とはいえないが)については、これまでも全国的に、所得制限付きで実施されてきたもの。そこに「大阪府内の各私立高校が授業料を負担する」という他府県に例のない条件が持ち込まれたのは、橋下徹大阪府知事時代だった。
“新たな制限”とは、授業料の金額が、大阪府の定めた上限60万円を上回った場合、その差額分は学校側が負担しなければならない、というもの。
保護者の側から見ると、本来保護者が負担すべき学費が“保護者の所得割による負担”という制度に変わったことで歓迎ムードが高まったが、この制度は今日まで続いている。
一方、国からは、全国の私立小学校・中学校・高等学校への経常費助成が行われているが、各自治体では「一般財源」の位置づけだ。自治体で予算の組み直しが図られると、各私立小・中・高校に配分される金額は結果的に“中抜き”状態となる。
こうして生じた、国からの補助額と自治体からの補助額との差額は、令和3年度、府内私立小学校・児童一人当たり9万8,652円、私立中学校・生徒一人当たり6万9,021円、私立高校・生徒一人当たり2万5,779円。
差額の大きさは、府内私立小学校が全国ワースト1、私立中学校ワースト4,私立高校ワースト2という現状だ。
私立中高の授業料無償化(厳密には無償とはいえないが)については、経営責任が伴う私立高校との話し合いが、道理から言っても欠かせないはずなのだが、話し合いを求める私学団体の申し入れに対し5月27日現在、回答は出されていないという。(N)
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