まもなく戦後75回目の終戦記念日がやってくる。昨今、憲法改正の声が与党内で激しさを増している。
あたらしい日本国憲法の素案・骨子を、なぜ日本政府ではなく、当時のGHQが作らなければならなくなったのか、その事情が、かつて放映されたNHKドキュメント『日本国憲法の誕生』に非常にリアルに描かれている。
また当時、米国より来日しGHQで占領業務にあたっていた J・ウィリアムズやトーマス・ビッソンなどの法律家やジャーナリストのマーク・ゲインなど、その後、知日家となった人々が、著書やレポートの形で、終戦直後(GHQ占領期間中)の日本の様子を詳細に記録している。
1946年2月13日に行われた会議中、GHQのホイットニー准将から吉田茂(当時外務大臣)に渡されたのは、GHQが作成した民主的憲法草案だった。
が、草案は憲法改正委員会(松本委員会)のもとでいわば“店ざらし”の数ヵ月を送ることとなる。
「日本政府がこの草案に沿った憲法改正審議をしないなら、我々GHQは直接日本国民に訴える」との圧力で、ようやく国会での憲法改正の審議が動き出し、現在の日本国憲法制定へと動いたといわれる。
その間の国会審議では、「改正憲法(日本国憲法)は“国民主権”であるが“国家主権”でもある」といった、行政権に力点を置いた答弁が繰り返されている。
“権力を握った時点から為政者は狂い出す”という戦前の教訓を、8月15日に思い返してみることも必要か。(N)
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