為政者をライオンにたとえて、「憲法の重要性」を説くこの本。著者は広島弁護士会所属の若手弁護士さんで、地元の学校からも出張講演依頼が多く寄せられているという。
ライオンは「国家権力」、そして檻が「憲法」だ。著者は、「はじめに」と題した中で、「いくら最強かつ大人気の横綱でも、土俵の形を勝手に変えることはできませんし、行司の裁きには従わなければなりません」とし、「政治的思想信条の違いを超えて」多くの人に憲法のしくみを知ってほしい、という率直な願いを書き綴っている。
それにしても、動物たちが登場する愉快なイラストに引き込まれ、思わず知らずページをめくり続けてしまう…。「憲法なんて難しそうなことはわかんないや、という大人の方も、ぜひイラストを眺めてみてください」と、本書の読み方が“指南”されていた。
仮に、法学部出身のアナタでも、憲法第○条の条文は知っているのに「なぜそうなっているのか」を説明できないことがあるだろう。なぜ、基本的人権がわれわれにあるのか、なぜ国家があるのか、なぜ三権分立にするのか、なぜ国会に立法権があるのか、なぜ民主主義なのか ――。こうした疑問は、実は子どもだけのものではないとも思う。
著者は、「私たちが守らなければいけないルールを作っても良いのは、私たちが選挙で選んだライオン(議員)たちだけです」と、代表民主制を説明している。
この関連で財政民主主義、租税法律主義など、われわれが普段あまり意識しない分野までもくわしく解説されている。中高生や大学生、さらにはわれわれ大人が読んでも、楽しく学べる話題が盛り込まれている。
“応用編”では最近の憲法改正問題の考え方を知ることができ、さらには日本国憲法や砂川事件判決なども資料として掲載されている。
楾大樹(はんどう たいき)著『憲法がわかる46のおはなし「檻の中のライオン」』A5判ハードカバー118頁/かもがわ出版刊・1300円+税
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