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 近畿の実力私学50選
学校法人 大谷学園

大谷中学校・高等学校

萩原英治 校長先生へのインタビュー


自他共に大切にする心を育み成長

高校3か年課程で50%が国公立大へ

〔23.10.28号より全文掲載〕

―― 先生は、大阪府立北野高校、府立富田林高校などの校長を歴任され、今春、大谷中高校長に就任されました。女子教育ならではの特色について、おたずねできればと思います。

萩原: 女子の生徒たちには「粘り強く何事もやり遂げることができる」という特長があります。

 私は、共学校で男子生徒も見てきましたが、クラブ活動にも取り組んでいる生徒たちの多くは、引退時期の直前まで熱心にクラブ活動に打ち込んでいたことを思い出します。

 彼らは、クラブ活動を引退したとたん、今度は学業面で爆発的な力を発揮し始めます。それまで学業成績では女子にかなわなかった彼らが、ここから合格圏へと一気に突入していく姿を数多く目にしました。

 もちろん女子生徒の中にも同様のケースが見られましたが、最初からコツコツと地道な努力を続けて見事第一志望に合格するタイプの生徒が多かったように感じます。

 本校の生徒にも、やはりこうした女子特有の一面が見られます。日頃からきちんとやるべきことをやり、その努力を継続していける生徒たちが多いですね。



コツコツ取り組む女子の特性

―― 御校は、中高一貫「医進コース」を設けられるなど女子の理系教育の先駆けになってこられました。
萩原: 理数教育には以前より力を入れてきており、その流れを踏まえて立ち上げた「医進コース」には、「将来医学部医学科をめざす」という強い気持ちを持った生徒たちが当初から集まってくれたようです。

 生徒の強い思いと、粘り強い女子の特性、そして女子の理系教育ならびに「医進コース」におけるノウハウの積み上げができ、それらがリンクして毎年の実績につながっていると思います。

―― 6年前に開設された高校からの3か年課程では今春、卒業生の約5割が国公立大学に合格されたそうですが。

萩原: 3か年課程には、いわゆる医進に相当する「プレミアム文理」と、特進に相当する「アドバンス文理」の2コースを設置しています。いずれも国公立対応型カリキュラムを基本としたコースで、プレミアム文理では今春、卒業生の約半数が国公立大学に合格を果たしてくれました。

 本校では毎日、7時間目まで授業を行い、土曜日も月3回授業を実施しています。

 少人数クラスのもと、きめ細かな指導ができ、6か年課程、3か年課程のいずれにおいても共通テストの終了後まで面談を繰り返し、一人ひとりの進路目標達成を支援しています。

 また、高校からの3か年課程と、中学校からの6か年課程の生徒は別クラスで授業を受けますが、学校行事やクラブ活動、修学旅行など一緒に活動する機会が多くあります。

 高校では、公立中学校を経てきた生徒たちが多様な社会性を発揮し、新鮮な風を吹き込んでくれており、これからも互いに刺激し合い、高め合っていけるようにと願っています。


多様な分野にチャレンジ社会に貢献を

―― 卒業生の中には、お医者さんや弁護士さんなどいわゆる士業(しぎょう)に就いておられる方々も多いですね。
萩原: かつて“理系は男子”などと言われたものですが、国も今では理系の女子を増やそうとしています。

 本校の生徒たちも多様な分野にどんどんチャレンジしてほしいですし、ぜひそうならなければと思います。

 社会では、様々な分野で女性が活躍しており、その中には、大局を見て先頭に立っていける力をお持ちの方も多くおられます。そうした方々が、例えばもっと管理職のポジションに就きやすいような制度設計こそ必要ではないでしょうか。

 同時に、例えば「女性には家事があるから…」といったステレオタイプな発想なども社会全体で見直していく必要がありそうです。

 私は生徒たちに、「将来社会で活躍してもらいたい」「ぜひ社会に貢献してほしい」と常々呼びかけています。


―― ICTやAIなど、学校教育も急速に変化していますが。
萩原: 本校は創立114年になりますが、良き伝統を守る一方、変えるべきところは変えていく姿勢も大切にしたいと思っています。

 生徒たちには一人一台、タブレットを持たせて日々の授業に活用していますが、学校教育へのAIの導入に関しても、まずは自分の考えをしっかり持てるように、そして判断力を鍛えておくことが、AIを正しく使うための不可欠な要素になると考えています。


―― 最後に宗教教育について ――。
萩原: 生徒たちは毎朝、校門の前で一礼して入ってきます。“今日もよろしくお願いします”と一礼し、教室では毎日の朝礼で合掌礼拝や校訓の唱和を行い、終礼時にも瞑目と合掌礼拝を行います。

 一日に何度も自分の心を振り返る機会を持ち、それを3年間もしくは6年間続けていく中で、自分の心としっかり向き合える人になってほしいと思います。

 素直な心を養い、人も自分も大切にしたいという思いを育み、周囲の人たちに信頼され、愛される人となって社会で大いに活躍してくれることを願っています。


―― 本日は、ありがとうございました。<文中敬称略>


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