令和4年度は算数以外で難化
さて、令和5(2023)年度中学入試まで1ヵ月余りとなりました。“ウィズコロナ”の意識の広がりに伴って、入試状況もやや持ち直す気配がうかがわれるとの分析も聞かれますが、12月の出願動向を注意深く見守りたいと思っています。
洛南高等学校附属中学校の入試は毎年、統一入試日から三日目に実施しています。令和5年度の入試日は1月16日(月)、募集人数は内部進学者約90名を含む男女約280名です。出願期間は12月12日(月)から19日(月)まで、Web方式で行います。
試験科目は、国算理の「3科型」、または国算理社の「4科型」のどちらかを出願時に選択してください。
入試問題に関しては、令和4年度は全体的に難化傾向が見られました。特に理科は前年度が易しかったこともあり、例年並みの難易度に戻りました。それに伴って平均点は、100点満点で10点から15点ダウンしました。
一方、社会については平均点が7割を超えるなど例年並みとなっています。国語は150点満点で10点から15点ダウン、算数は逆に5点から10点アップしたものの、やはり国語のダウン幅は大きく、ここに理科が輪をかける形で全体的な得点状況が低調に終わったようです。
中学入試の傾向と対策
令和5年度入試においても、従来の出題傾向を踏襲する方向性は変わりません。したがって過去問による対策を練ることが一番だと思います。基礎力の充実を図った上で、5年分ほどの過去問に取り組んでおくとよいでしょう。
国語は、読解力・語彙力を試す大問3題の構成としています。言葉の持つ微妙なニュアンスの違いを常々意識し、例えば「のんびりと」「ぼんやりと」「ゆったりと」という表現の違いについても明確に言葉で説明できるよう訓練しておいてほしい、との教科担当者からのアドバイスがありました。また理由説明の問題では、「~だから」という答え方が求められますが、「~こと」を用いるケアレスミスなども散見されました。自分で書いたものは一度読み直し点検する習慣を身につけておけば、誤字脱字を防ぐ手立てにもなるはずです。
算数は、70分で小問25問の出題構成としています。大問数は年によって若干変化がありますが、小問数は変わりません。計算問題・旅人算・図形的な問題・規則性の問題など、単元に偏りなく出題しますので、総合力を鍛えておくことが大切です。その上で、自分の得意な問題を確実に得点することが合格のポイントといえるでしょう。大問1題あたり3つから4つの小問を設定し、解答のみを求めますが、日頃の学習では解答に至る過程をノートに記述する習慣を身につけておきたいものです。小問(1)(2)(3)…と、設問の流れに乗って階段を上がるように得点を重ねていく力が、自ずと身についていくと思います。
理科は、化学・物理・生物・地学の4分野から、実験・図・グラフなどを交えた応用問題が出題されており、自分の頭で考え、これまでに得た知識に落とし込む力が求められます。令和4年度は出題の分量が増え、時間内に処理し切れなかったことが、平均点ダウンの要因になったと思われます。4分野の中では物理の苦手な受験生が多いように感じますが、今回は生物の正答率が低かったことも特徴の一つでした。
社会科は、地理・歴史・公民の3分野から万遍なく出題しており、基礎的な内容を確実に押さえておくことが重要といえます。また例年、時事問題の正答率が低くなる傾向が見られますが、日頃から新聞の見出しに目を通し、興味を持った記事には積極的に触れるよう心がけたいものです。
高校入試は
併願【6番】をチャレンジの機会に!
令和5年度の高校入試は、「空(そら)パラダイム」約48名、「海(うみ)パラダイム」約96名の募集となります。
出願にはWebを用い、12月1日(木)に事前登録がスタートします。必要書類は1月20日(金)から24日(火)の間に到着するよう郵送してください。入試科目は5教科です。
令和4年度の入試情況を振り返ると、府県境をまたいでの受験が控えられ、特に大阪からの併願男子や、また全体的には専願女子の減少が目立ちました。結果として併願男子、専願女子の合格点は、いずれも前年度を20点前後下回る一方、専願男子については合格点のダウン幅が小さく、受験生の皆さんの頑張りも感じられました。
併願の種別は、下図の【6番】(「空」を第一志望、「海α」を第二志望とし、回し合格もあり)と、【7番】(「海α」のみ志望、回し合格なし)の2種類を用意しています。
募集要項に記載しております通り、「空」は主に専願志望者の中から選抜しますが、併願合格者で入学手続きをされた方のうち、成績上位の約15名は「空」クラスに入学していただきます。「空」の入学者が定員に充たない場合、併願「海」の入学者から「空」クラスに繰り上がっていただきます。
令和4年度の繰り上がりは12名でした。合格発表時の併願「空」の合格点は327点でしたが、結果的に約300点の方まで繰り上がっていただくことになりました。併願で「空」を志望される方は出願種別の「6」を選択していただければと思います。
また、令和4年度の英語の入試で難化が見られました。中でもリスニング問題は、受験生にとって難しく感じられたかもしれません。さらに長文問題では代名詞の指す内容を説明する問題が出題されました。本文をしっかり読めないと、代名詞の内容も正しく記述できません。結果、正答率は低くなりました。
さてコロナに伴う入試対応として、令和4年度は中高ともに追試を実施しました。令和5年度は、あらかじめ特別に日程を設けることは考えておりませんが、万が一、当日発熱したりコロナ感染や濃厚接触の問題が起きた場合など、個々に対応させていただきますので、速やかに本校までご連絡いただければと思います。
(お話は洛南高・洛南高附属中 中村信吾先生)
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