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学校法人 三田学園

三田学園中学校・高等学校





丸泉琢也 理事長へのインタビュー


教科横断的学びとGlobal competencyの育成
2022年度中学入学生から導入

〔21.8.18号より全文掲載〕


今春、創立110周年を迎えられました。

丸泉: 本校は、小寺謙吉により明治45年(1912年)に創設されました。

 校祖は20歳の頃から欧米で学び、イギリスの名門イートンカレッジを模範として、三田の広大な丘陵地にキャンパスを開きました。

 私自身、ここが母校でもありますので、学園の成り立ちについては耳慣れてきましたが、今あらためて110年のあゆみを振り返ってみると、どの時代にも進取の気風が漂い、先進的な教育が常に取り入れられてきたことに気づかされます。


先生は、東京大学大学院から企業の研究所でのご勤務、さらに昨年まで、東京都市大学(旧武蔵工業大学)の副学長を務められていたそうですが。

丸泉: 私も色々と海外経験をさせていただきました。その中で、日本も世界標準の教育を進めていかなければ、と強く思うようになりました。

 単に大学受験を目指すというだけではなく、もう少し広く、人生全体にわたって、有効で役に立つ教育を求めていく必要があると考えています。

 本校の校祖の言葉の中に「常識を有する人物を養成する」という一節がありますが、その常識とは、いわゆる教養に他ならないと思っています。

 研究所勤務当時、ヨーロッパで多くのプロフェッサーに出会いましたが、彼らは大抵、3~4カ国語を話すことができました。広い意味での教養を身につけることが「世界標準の教育」には欠かせないと痛感させられました。

 今では文科省も教科横断型のSTEAM教育を推進するようになりましたが、大学入試を目指すだけなら、入試科目以外の教科は勉強する必要がないという話になってしまうのかもしれません。しかしそれでは、多様性に満ちた世界で活躍できるグローバルリーダーの育成など、とうてい難しいでしょう。



グローバル教育の環境づくり
丸泉: 私は生徒たちに繰り返し言うのですが、勉強とは答えを聞くことではなく、課題について様々な情報を収集し統合することなんですね。

 例えば大学生協の書店では、外山滋比古さんの著書『思考の整理学』がよく売れていると聞きますが、中高生の総合的な学習の時間や探究の授業の際にも活かすことのできる情報が含まれているのではないでしょうか。

 また、大学では文系・理系にかかわらず、データサイエンスの履修が求められるようになってきました。一方、高校の数学においても統計分野の学習量が確実に増えてきているとのことです。担当の先生方にうかがいますと、例えば「この式に当てはめれば標準偏差値が出てきますよ」という教え方ではなく、「標準偏差とは何か」がきちんと理解できるような教え方を日々工夫されているようです。

 ちなみに本校では、文系・理系の選択を高校2年で行いますが、文系の生徒たちも、数学は数Ⅱまで履修します。本校では、生徒全員が大学入学共通テストを受験することになっていますが、数学も受験する文系の生徒がさらに増えていくのかもしれません。


ところで中学校は、6年前から2コース制ですね。

丸泉: コース制の導入により、中学校から高校まで習熟度に応じたきめ細かい指導を行うことができるようになりました。

 それと共に、「主体的な学び」「私心なきリーダーシップ」「グローバル教育」「ICT教育」「キャリア教育と高大連携」など、グローバルリーダー育成に向けての教育の土台についても再確認することができました。教科横断的な学びをコアとし、その上に個々の科目等を積み上げ、連携させていくことがこれからの課題と考えています。

 また、中学校では2022年度の入学生より「グローバルコンピテンスプログラム」を導入する予定です。このプログラムは、グローバルリーダーに必要となる様々なコンピテンシーを英語をベースにしたアクティブラーニングで育成するものです。

 さらに、海外の提携校との交流活動も今後、推進してまいります。生徒たちが、英語に親しみを感じ、身振り手振りを入れながらでも堂々とコミュニケーションしていけるような雰囲気づくり、環境づくりをしていきたいですね。



ICT教育に関しては ――。
丸泉: 本校では6年前から、デジタライゼーションに関する先進的な取り組みを進めてきました。その意味では、遠隔リモート授業にも一日の長があったといえるでしょう。

 各教科の先生方がそれぞれ工夫を凝らし、独自の学習コンテンツを制作してくれており、経験知が生かされたコンテンツが、アーカイブとして積み上がっていくことに大きな期待を寄せています。

 一方、大学教育においては、教養教育と専門教育の再構築の時代が到来しています。中等教育も、総合的・探求的な学習の成果を、大学入試結果にどう反映させていくのか、あるいは社会に出た後にまで目を向けて具体的な成果を明らかにしていくことが、さらなる教育の質の転換にもつながっていくと思います。

 世の中が大きく変わる中、ICTを使って教育の質を高めていく、この流れに遅れることなく、むしろ先頭を走るような取り組みが重要と考えています。



本日はお忙しい中、ありがとうごぎいました。<文中敬称略>
(東京都市大学名誉教授・前副学長・工学博士)


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