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近畿2府4県の教育長年頭所感

きょういく時報」17.1.18 761号掲載>




 あたらしく青木洋教育長を迎えた滋賀県教育委員会では、昨年策定した滋賀県の教育大綱に掲げる基本目標「未来を拓くこころ豊かでたくましい人づくり」の実現に向け、教育施策を推進するとしている。

 来年度から先行実施される小学校の次期学習指導要領では、これまでの「何を学ぶのか」という内容に加え「どのように学ぶのか」「何ができるようになるのか」が大切になる、として、子どもたちが互いに議論し、周りの意見を聞きながら知識を身につけていく学びを進めるという。

 そのための教員研修を充実させ、各校の公開授業等で教員同士が学びあう取組を進めるとともに、学校現場における会議や調査・報告の簡素化や一部廃止など、多忙を極める先生方の「働き方改革」にも取り組む。
 
 「教育行政における施策は、集団に対して実施するものが多い」としながらも、「一人一人が集まってその集団ができている」ことを念頭に、子どもたちの個性が発揮できる滋賀の教育を推進するという。
 

 
 「京都府教育振興プラン」を推進する京都府教育委員会(小田垣勉教育長)では、人権尊重を基盤とし、ともに支えあい、自立して地域・社会の一員となれるよう、必要な力を養う教育を推進するとしている。

 また、今年度から「すべての児童生徒の基礎学力の定着と希望進路の実現をめざす学校モデル」を構築するため、大学研究者らで構成される専門家チームをモデル校に派遣。研究実践を行っている。

 「すべての子どもが安心して学校へ通うことができる環境づくりとして、いじめ、暴力行為などへの対策の充実、薬物乱用の防止、根絶のための教育の推進はもとより、経済的に困難な環境におかれている児童生徒や不登校などの課題を抱える子どもの支援が必要」とし、今後、モデル校での研究成果を、府内の小中学校に普及できるよう努めるという。



 「兵庫が育む こころ豊かで自立した人づくり」を基本理念に据える兵庫県教育委員会(高井芳朗教育長)では、「社会的自立に向けたキャリア形成の支援」を目標に、その実現に向かって進んでいく力(キャリアプランニング能力)をはじめ、自己理解・自己管理能力、コミュニケーション能力や課題対応能力など、社会的自立に必要な能力を育成するとしている。

 そのため小・中・高それぞれの発達段階に応じ、兵庫県が作成した副教材「キャリアノート」の活用や、教育活動全体を通した組織的・系統的なキャリア教育に取り組む。

 また、高校では「兵庫県版基本CAN-DOリスト」を活用し、全県立高校において、各高校の事情を踏まえた英語4技能の到達目標を目指した英語の授業実践に取り組むという。

 一方、県立学校施設の耐震改修は平成30年度末を目標に100%達成を図るとしている。



 大きな社会変革の中で「知・徳・体」を基盤とした人間としての総合力の育成を図る和歌山県教育委員会(宮下和己教育長)。加えて、キャリア教育、国際化教育、教育の情報化の推進と、新しい時代に必要な資質・能力を備えた人材の育成を推進するとしている。

 昨年夏、世界との対話と協働をテーマに「アジア・オセアニア高校生フォーラム」を開催し、20カ国からの高校生の参加を得た。「防災対策」「観光文化」「環境問題」「国際問題」「情報」の5つのテーマに沿って、プレゼンテーションや討論などを行い、国際交流と防災教育に大きな成果を得た。

 異なる文化に触れ、相互理解を深める機会となったフォーラムの成果を、今後教育実践の中でも反映させていきたいという。



 奈良県教育委員会(吉田育弘教育長)では、昨年3月に「奈良県教育振興大綱」が制定された。

 大綱では、①幼小接続などライフステージに応じた「縦」の円滑な接続、②学校、家庭、地域など関係主体の「横」の連携・協働、③へき地教育の振興や学校教育環境など学びを支える環境整備、④定量的なアウトカム指標を用いたPDCAサイクルの徹底、の4つ視点を重視。具体的な取組の指針が示されている。
 
 その中でも、子どもたちの「学ぶ意欲」を高めることには重点が置かれている。「学ぶ意欲を高めることは、学力や体力の向上につながり、子どもたちが自分の可能性を伸ばすことにもつながる、すべての力の源」とも述べられている。

 一方「子どもたちの意欲や好奇心を引き出すのは教員であり、教員自身が教えることの専門家であると同時に、学ぶことの専門家として、学び続け、学ぶことを面白いと感じ、子どもたちに学ぶ喜びを伝えてもらいたい」と、教育現場に対し熱い期待を寄せている。



 昨年4月、私学行政も含む総合教育行政化に伴い教育庁となった大阪府の教育行政部門。大阪府教育庁(向井正博教育長)では、小学校3年生からの英語の必修化を見据え、小学校6年間で、英語の4技能を育成するため開発した英語学習DVD教材「DREAM」の活用を促進するとともに、中学校では、民間と連携した研修などにより授業を改善し、児童・生徒の英語力の向上に努めるという。

 喫緊の課題である暴力行為等の問題行動への対応として、中学校の生徒指導主事が、機動性をもって活動できるよう負担軽減する。加えて、家庭の経済的事情に関わらず、国公私立の高校などを自由に選択できるよう、授業料無償化制度の継続や私立学校の耐震化の促進にも取り組むとしている。

 また、公立に加え私立の教員を対象とした研修の更なる充実に努めるとともに、府立学校において週一回の「全校一斉退庁日」と「ノークラブデー」を設定し、長時間勤務縮減への対応を進めるとしている。

 


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